設計労務単価引き上げ~建設労働者の賃上げ、処遇改善につなげよう

 国土交通省は2013年4月1日の入札から適用される公共工事・設計労務単価(公共工事予定価格の積算に用いる労務単価)を、全国51職種すべてについて、普通作業員が16.7%増、鉄筋工15.4%増、型枠工15.6%増など、いずれの職種も前年度に比較して15%前後の大幅に引き上げをおこないました。
 引き上げの理由は、建設産業における技能労働者の賃金下落に歯止めがかからず若年技能者が大幅に減少し、技能の継承や施行の品質確保にも大きな影響を及ぼしているからです。
 特に東日本大震災被災地では、震災前からの地域建設業の疲弊が顕在化し、復旧・復興事業における入札の不調となって表れました。また、日本全国では窮迫している公共施設・インフラの老朽化対策や防災・減災対策への大きな支障となって表れています。 この問題は、もともと建設行政を掌る国土交通省が、技能労働者の深刻な事態を放置し、コスト縮減に目を奪われてきた結果にほかなりませんが、事態がここに至る中で、建設労働組合の要求や勤労者各層のデフレ経済からの脱却を背景にした大幅な賃金引上げ要求にたいして、政府・行政が一定の反映をしめしたものといえます。
 直近の課題は、せっかく引き上げられた「設計労務単価」が末端の現場で働く建設労働者の賃上げに如何に繋げるかということです。
 この点で、私は、東京の日野市や大阪の豊中市のように、公共事業の入札制度に「総合評価方式」を取り入れ、設計労務単価の少なくとも80%以上(日野市)を確認すること。雇用条件などを評価し、優良業者が落札されやすくする(豊中市)など、入札制度においても労働者の賃金引き上げや処遇改善などを含めて総合評価される制度に改善することが必要ではないかと考えています。そして、入札制度の恒久的な改善には、「公契約法・条例」の制定が欠かせないものとなります。
 せっかく、引き上げられた「設計労務単価」です。
 現場で働く労働者の賃上げにつながる方策を、建設業界、労働組合、行政、みんなでつくり出したいものです。では。

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