自公政権時代、09年10月からスタートした「介護職員処遇改善交付金」=介護労働者一人当たり1万5千円相当額を事業所に直接交付する制度について、民主党は、「国の財政が厳しい」との理由で時限立法が切れる12年3月末で廃止し、代わりに事業所に支払われる介護報酬を2%強アップする案を社会保障審議会の介護保険部会に提示しました。
同じ事業者に支払われても、交付金と介護報酬とでは大違いです。交付金では介護費用に跳ね返らず利用料や介護保険料のアップになりませんが、介護報酬では、利用料や保険料に跳ね返るのです。つまり、その分国の負担は減り国民の負担増になります。
当時の自公政権は、介護労働者の離職が社会問題化になる中で「処遇改善」を掲げ事業所に支払われる介護報酬を09年4月から3%増額。しかし、これではもともと経営難の事業所に3%では焼け石に水・職員の待遇改善に為らないとして、民主党は共産党と一緒に09年3月(当時の4野党で)「介護労働者賃金引上げ法案」を提出しました。この法案では介護保険料や利用料が上がらないよう『国費』で介護報酬をさらに7%(賃金月4万円分)を上乗せするものでした。
また、民主党の政権公約(マニフェスト)には、「介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる」と明記しているのですが…
しかし政権に付いたとたん民主党は、交付金から介護報酬アップへと変身し、しかも4万円の賃上げは全く影を潜めています。
全労連のヘルパーネットの介護労働実態調査(10月中間報告)によると介護労働者の平均年収は206万円。「働き続けられる賃金・労働条件改善」を求める要求は78%に登っています。
利用者の安全・安心を守る上で、介護労働者の処遇改善は待ったなしです。そして、その財源は、高齢者にさらなる利用料・保険料の負担を課すのではなく、国費で確保するべきです。
民主党の公約の後退はどこまですすむのか。介護労働者の処遇改善をめぐる問題でも注視する必要があります。
では。