今朝の徳島新聞2面に、「ニュース早分かり・法人税の引き下げ」QアンドA形式の囲み記事が掲載されています。民主党政権がすすめようとしている「法人税5%減税」の解説記事です。記事では、Q なぜ法人税の見直し議論が出るのですか。の問いに対して、A 海外諸外国に比べて日本の実効税率が高いため、税負担が重い日本企業の国際競争力が海外企業と比べて弱まってしまうというのが主張の柱です。と述べ、日本の「実効税率」40%台に対し、フランス・ドイツ・英国は30%前後、中国・韓国は25%程度と報じ、比較するグラフを掲載しています。
なるほど、このグラフをみれば「財政難でも日本の法人税引き下げも止む無し」と、多くの国民が認識してもおかしくありません。そして、ここで示されている、法人税・実効税率のグラフは「事実」でしょう。
しかし、大企業が実際に納めている「法人税」の実態、即ち納税の「真実」を伝えているでしょうか。
ソニー12.9% ・ トヨタ30.1% ・ 本田技研工業24.6% ・ ブリジストン21.3% 、経常利益の上位100社の平均の法人税負担率は33.7% と、しんぶん赤旗は報じ、法人事業税など以外の租税特別措置(研究開発減税・外国税額控除など)の恩恵で、すでに諸外国と比べて遜色の無い実態を明らかにしています。もっと云えば、企業の社会的負担、即ち、税+社会保険料の総額では、欧米に比べて日本企業の社会的負担は低いという実態も見ておく必要があります。
こうして見ると、大企業の法人税を引き下げる必要性に疑問が出てきてもおかしくありません。
徳島新聞の法人税に関する数字は、「事実」かも知れませんが、現実の法人税納税の実態を示してはいないのです。
記事では、方針税減税による税の減収を1兆円と見込んでいます。厳しい財政事情の下で、法人税のあり方を問うなら、上っ面の税率を示す「事実」ではなく、納税の実態を問う「真実」の追求報道に期待したいものです。