5月5日、こどもの日にすべての原発が停止となりました。考えてみると全国に54基(福島1~4含む)もの原発があり、これらがすべて停止しているにもかかわらず、『停電』しない日本の電力事情はどうなっているのか、素朴な疑問がわいてきませんか?
朝日新聞(5/17・9面)「教えて電気料金⑨」発電所作り続ける理由という記事にその答えを垣間見ることができます。
そもそも、余っていた電力供給力
福島原発事故前の2010年度、国内のすべての発電所が発電できる電力は合わせて約22億8500万kwだった。しかし、この年度で猛暑だった夏のピーク時に使われた電力(年間最大電力使用量)は約17億7800万kwだった。つまり、発電能力は2割以上も余った。
こんなに余っているのに、電力会社がなぜ、原発を含む発電所建設を進めてきたかについて、こう指摘しています。
普通企業が工場を建てるとき、そこで作った商品がどれだけ売れるか、価格が落ちる心配がないか、など慎重に検討するだろう。見通しが外れれば、工場の建設費が無駄になって大きな損につながる。しかし、発電所は違う。将来の見通しがはずれ発電所が使われず、建設費が無駄になっても、電気料金から回収できる。電気料金を決める「総括原価方式」では、建設費の費用を積み上げたうえで、もうけを上乗せできるからだ。電力会社の懐は痛まない。今の「総括原価方式」が続く限り電力会社が本当に必要かどうかを突き詰めなくても発電所を建設できる。実際は電気が余っているのもかかわらず電力業界は、ピーク時に必要な電力が10年度からの10年間は毎年0.2%~1.5%のペースで伸びるという見通しを挙げて建設を進め、その建設費は結局すべて電気料金に上乗せできるからだとしてしています。
原発の安全神話と「総括原価方式」という衣が剥げ落ちた今、電力会社の経営姿勢をさらに厳しく問う必要がありそうですね。そして幸か不幸か、今その「余った電力供給力」のおかげで、原発ゼロが可能となっているというわけです。 では。