国家公務員の10%賃下げ(3年間)に異議あり

 政府は6月3日国家公務員の賃金と一時金を3年間5%~10%引き下げる法案を閣議決定しました。引き下げの理由は、国の財政事情と東日本大震災の復興財源の確保だといいます。

 月収30万円で働く労働者が、明日から10%・3万円賃下げです。理由は、震災復興財源に必要だから、いわれて、納得がいくでしょうか。民間では許されないが、「いや公務員だからしかたがない」と思っている方もあるかもしれません。しかし、公務員だって、同じはたらく労働者であり、生活者です。家族があり、ローンも抱え、まじめに仕事をし、日々の暮らしを立てています。ところが、何故か「公務員」は、「悪玉」というレッテルが貼られ、盛んにバッシングの対象とされる風潮が生まれています。私は、国家公務員にしろ地方公務員にしろ、まじめに職務に専念し効率よく働くことは当然のことだと思います。ただ一般の公務員と高級官僚とは区別しておかなければなりません。高級官僚の天下りが、政官財の癒着の温床となり、大企業と官僚、政治家が結んで、湯水のごとく巨大プロジェクトに巨費を投じた結果、今日の「財政悪化」を招いたのですから高級官僚こそ攻めるべき対象であって、一般公務員を「悪玉」にすることは賛成できません。むしろ同じ働く労働者・勤労国民として「団結」することこそ必要なのです。

 また、公務であれ民間であれ、労働者の賃下げは、景気を冷やしデフレ経済に拍車をかけます。当たり前のことですが、所得が減れば消費購買力は失われ消費経済は縮小します。消費税増税が景気を冷やすことはよく知られていますが、「賃下げ」はストレートに購買力を失うわけで、その影響は甚大です。

 国家公務員の賃金は、地方公務員や教員、民間労働者も含む625万人の労働者に直接影響するといわれていますが、労働運動総合研究所の試算によると、10%カットで、家計収入は、約3.5兆円減少し、消費支出も約2.6兆円の減。国内生産は6兆円近くも減少します。その結果、国内総生産(GDP)は3兆円も減少し、デフレを加速すると指摘しています。

大震災復興財源は、公務員の賃下げではなく、大企業や大資産家への減税の中止や米軍えの思いやり予算の中止、政党助成金の廃止などの予算の組み換えと大企業に引き受けを求める「震災復興国債」の発行で、大企業が溜め込んでいる「内部留保」の活用が、国民の消費購買力を落とさず、復興経済の理になかった財源のあり方だと思います。

では。

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国家公務員の10%賃下げ(3年間)に異議あり への1件のフィードバック

  1. 伊藤千代子 のコメント:

    ネットを散策していたら、このサイトにつながりました。ラッキーです。非常にわかりやすいご説明で、とても参考になります。ありがとうございます。

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