エネルギー政策の抜本的な転換に向けた意見書・日弁連

今日5月10日のしんぶん赤旗(日刊)5面に日本弁護士連合会(日弁連)が7日付けで政府に提出した表記「意見書」の要旨が紹介されています。要旨紹介は「意見の趣旨」と「意見の理由」の二つが紹介されていますが、少し長文ですので「意見の趣旨」のみ転載しておきます。

意見の趣旨

1.持続可能性を基本とするエネルギー政策にすること

2.原子力発電所については、新増設を停止し、既設のものは段階的に廃止すること。運転開始後30年を経過し老朽化したものや付近で巨大地震が発生することが予見されているものについては運転を停止し、それ以外のものについても、地震・津波への対策を直ちに点検し安全性が確認できないものについては運転を停止すること。

3.石炭火力発電についても、新増設を停止すること

4.再生可能エネルギーの推進を政策の中核にすえること

5.エネルギー製造・供給事業の自由化を促進し、発電と送電を分離すること

6.エネルギー消費を抑制するための実効的に制度を導入すること

7.排出量取引制度等によってエネルギー供給の確実な低炭素化を図っていくこと

8.エネルギー政策が多くの国民に開かれ、国民の積極的に参加を促すものとすること

以上です。

意見の理由(さらに僕が要約しています。)では、原子力発電・エネルギー政策が「国策」としてすすめられてきたこと。その元で、再生可能なエネルギー導入が顧みられず、開発当初は先進的技術を生み出した風力や太陽光などの主導権を外国企業に奪われたこと。電力会社は電力の消費抑制やピーク時の電力抑制という課題に向き合うことなく、むしろオール電化住宅の推進など、電力消費拡大を見込むことで原子力発電所などの建設推進が推し進められたこと。電力会社と政府関係機関が一体となって喧伝し続けた「絶対の安全性」との過信が、安全対策の不備、そして福島第一原発の大事故を招いた大きな原因のひとつである。とし、今回の原発事故と電力危機は、これまでのエネルギー政策からの決別を迫っている。全く新しいエネルギー政策を構築していかねばならない。経済面、社会面、環境面での持続可能性をもたないエネルギー政策は結局のところ破綻を免れず安定供給という目的を達成することは出来ない。常に持続可能性という観点から政策を評価し、再検討しなければならない。としています。その上で、誰も引き受けられないような巨大なリスクをはらみ国家財政を危機に追い込む原発は「持続可能性」を認めることは出来ない。とし、石炭火力発電についても環境面で持続可能性は認めがたいとしています。その上で、再生可能エネルギーは現在10%その大部分が水力発電で太陽光、風力、バイオマスなどによる発電は1%にとどまっているが、再生可能エネルギーには、原子力発電に代わる十分な供給能力があり、その活用は、安全保障や地域の経済の活性化・被災地の復興にもつながるとしています。また、エネルギー政策において、その主役を担うのが中央官庁や電力会社の中枢にいる一握りの人ではあってはならない。エネルギー政策は多くの国民に開かれ、国民の積極的参加をうながすものとならなければならない。これからのエネルギー政策においては、意識ある国民がその主役にならなければならないからである。と結んでいます。

では。

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