学習の友1月号に「内部留保」の特集がされています。日本を元気にする、経済活性化の要になっている「内部留保」とは。少しお勉強です。
●そもそも「内部留保」とは?
企業は物を生産し販売したり、サービスを提供して売り上げをのばします。その売り上げから、賃金や原材料費、諸経費を支払うと「利益」が残ります。この「利益」から税金・株主配当・役員賞与などを支払った残りが「内部留保」で、企業に残った最終ため込み利益の総額です。決算報告書の貸借対照表では、利益剰余金・資本剰余金・退職給付引当金・長期負債性引当金という4つの要素で構成されています。一部に、利益剰余金のみを捉えて内部留保とする説がありますが、全労連や労働総研では、資本剰余金、退職給付引当金、長期負債性引当金も生産された価値が企業内部に滞留する点では同じだし、必要以上に引き当てて、その一部が投資や投機に運用されあらたな利益を生み出しているので、広義の内部留保と捉えています。
●内部留保はいくらあるの~
2010年三月末の内部留保額は、441兆円。製造業への派遣が自由化されたのと連動して、1998年の210兆円から2009年度までに2倍も積み増しするという異常さです。(派遣による使い捨て労働によるコスト削減が生んだ内部留保というべきかもしれませんね。)うち、大企業5000社で252兆円(内部留保総額の6割)を占め、従業員一人当たりにすると3353万円にもなります。
●「内部留保」の社会的還元の方法は~
第一に、雇用や賃金水準、環境配慮、地域貢献などの社会的責任を担う、大企業に対して「法令順守」をさせること。
第二に、利益至上主義による横暴の規制です。この間、労働者派遣法など労働法制の規制緩和が進められ、正規から非正規へと労働者の使い捨てが横行しています。不払い残業も後を絶ちません。年休の未消化は当たり前になっていませんか。雇用増と、まともに生活が出来る賃金保障をさせること。そのためには、最低賃金の引き上げ(全国一律で時間額千円以上)や労働法制の抜本改正が必要です。
第三に、大企業と中小企業の公正な下請取引ルールの確立です。下請け代金法違反の罰則強化や下請け代金の決定方法を明記した下請中小企業振興法を罰則付きの法律に格上げするなど改正し、大企業の一方的な横暴を規制しなければなりません。
●「内部留保」ってホントにホントに使えるお金ですか~
内部留保の社会的還元は、内部留保のごく一部を活用することで実現できます。内部留保には、機械や建物・土地などの固定資産だけでなく、流動資産もあり預金や有価証券とかの手元資金が大企業には50兆円以上あります。(10兆円あれば年収500万円の労働者200万人雇用)この何割かを活用し、まず、企業内・グループ内の待遇改善や取引適正化に使うことは十分可能です。
とりあえず、ここまでにしておきます。一部私見が入っていることをご承知おきください。
では。