1月22日徳島県教育会館で、標記第4回総会が開かれました。
開会挨拶で服部敏彦代表(日本科学者会議代表幹事・徳大名誉教授)は、福島第一原発の汚染水について、「日800トンの地下水が流れ込み、二日に一千トン貯めることのできる貯蔵タンクが1個作られて、日400トンは汲み上げられているが300トンは垂れ流しです。」と述べ、原発収束宣言や安倍首相の「汚染水は完全ブロックされている」との発言がでたらめだと指摘しました。また、汚染水貯蔵タンク設置できる場所がなくなるということで、アルプスという放射性除去装置を使い海に流そうと規制委員会がしているが、水と同じ性質を持つ「トリチュウム」はアルプスでも除去できず、トリチュウムの半減期10年という性格から、現状でも35年以上放射能の汚染が続くと指摘し、原発ゼロの運動を前進させようと述べました。
特別報告では、玉真之介氏(徳島大学総合科学部教授)が「原発事故と農産物の風評問題」と題して講演。玉氏は、徳島県に比べ福島県は農業算出額で2.4倍、米で見ると6.5倍の農業県であったと述べ、放射能事故後に起きている福島の農村・農業生産への被害の実態や食品検査の現状をくわしく報告されました。特に、社会関係資本の被害が深刻で、長年かけて培ってきた社会的・文化的関係、家族、集落、自治体、農協、消費者との信頼関係が引き裂かれていくことの被害の甚大さを指摘し、消費者が抱いている食品への安全・安心志向、内部被曝への恐怖、子供への影響の心配、政府への不信・検査への不信などから、消費者の動向を「風評」と言い切れるかと問いかけた上で、福島を一律に見るのではなく農地の放射性物質の分布から、農地の詳細な汚染状況を把握し、福島の農家自身が「自分たちが安心して食べられないものを売るわけには行かない」として、作付対策、作物ごとの移行係数の把握、放射性物質の吸収抑制対策が重要で、農地の実態把握が農業生産の出発点になると述べました。そして、福島県ではコメの全袋検査を実施していて、吸収抑制対策の効果は大きく、平成24年度は基準値を超えるコメは極めて少なかったことも報告されました。終わりに消費者の安全性認識の4つの類型 A.ゼロリスク(可能性のみで拒否) B.検査体制への不信(サンプル検査・検査機関への疑問、制度への不信) C.検査結果で判断(基準を満たしていれば安全と判断) D.あまり気にしない、応援のため購入、ということから食品放射能検査に関する統一的な法令整備について必要性があるのではとの認識が示されました。
その他、活動報告では自治体訪問活動や伊方原発裁判をめぐる活動について報告され、12名の回の共同代表を選出し、総会を終えました。
総会参加ご苦労様でした。