原発再稼働の条件~原子力規制の「新基準」に、なぜ立地指針がないのですか?

2012年11月14日、原子力規制委員会の田中俊一委員長は会見で、
 原子力発電所の立地を決める際の判断基準となる「原子炉立地審査指針」を50年ぶりに見直すことを明らかにし、来年7月までに改定する。国際基準並みに厳しくし、建設済みの全原発全原発にも適用する。複数の原子炉がある原発にも、東電福島第一原発事故を念頭に新たな安全対策を求める。と述べています。
 田中委員長が会見で示した見直しの内容は~
*現在の指針は、敷地境界の線量の限度を250ミリシーベルトだが国際放射線防護委員会が定めた基準の100ミリシーベルト程度に改める。
*複数の原子炉がある原発は「1つが事故を起こすと、隣も対策が困難になる」とし、原子炉の数に応じて新たな安全設備などの対策を求める。
 などとして、来年(1013年)7月に原発の各指針を委員会規則などに改める方針で、立地指針も合わせて改正するとしていました。(以上2012.11/15付日経新聞より)
 ところが~
 原子力規制委員会(田中委員長)の「新規制基準」には、旧原子力安全委員会が原発の設置許可審査に関して定めた、立地指針・安全設計指針、安全評価指針、線量目標値指針の内、立地指針がありません。
 なぜ?答えを、今朝のしんぶん赤旗(日刊14面)で発見しました。滝谷紘一元原子力安全委員会事務局技術参与への取材記事です。滝谷氏の調査によると、福島原発事故で生じた線量は一年間で1190ミリシーベルトで、立地指針250ミリシーベルトの4倍を超え、国際防護委員会の100ミリシーベルトを12倍の線量です。滝谷氏はいいます。「福島第一原発事故の知見を反映した厳しい事故に対して新たに立地審査を行えば、既存の原発は不適合になる。そのために『立地指針』を取り入れなかったのではないか」
 なるほど、これで、「立地指針」を新規制基準から抹消した理由がわかりました。
この批判が当たらないというなら、原子力規制委員会は「新規制基準」に福島第一原発事故の知見をもとにした「新たな立地指針」を打ち出すべきです。
 福島原発事故の知見をもとにした「新たな立地基準」で、伊方原発の立地が良しとなるはずはありません。では。

 

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