2月9日アスティーを会場に「生存権裁判と私たちの暮らし」と題する講演(講師・愛媛大学・生存権裁判を支える愛媛の会 鈴木静氏)があり拝聴しました。
鈴木氏は、まず「生保バッシングの本質」(思想攻撃)を知ることの重要性を述べ、お笑い芸人の母の生活保護受給について、マスメディアが「不正受給か」という表現で、大きく報道したことに触れ、実際には、不正受給にあたらないものをあたかも「不正受給」であるかのような取り上げ方で、周到に準備された生活保護バッシングのはじまりだったと指摘しました。そのうえで、民法上の扶養義務や生活保護法における扶養の位置づけを正確に見れば、扶養は「要件」ではなく「優先」であり、不正受給でないことは明らかだとしました。
また、戦前の類似の制度と日本国憲法のもとでの生活保護法の考え方の違いは、戦前は、制限扶助主義・一般の生活より低い生活が当然という劣等処遇の原則だったが、戦後の憲法は25条で権利として保障し、普遍主義に立ち、劣等処遇を否定したことを強調し指摘しました。従って、生活保護は、憲法25条の「誰もが健康で文化的な生活を営む「権利」として確立されていることを改めて再認識することができました。
また、生活保護切り下げと国民への影響について、*最低賃金*市町村民税の階層区分**保育料や就学援助の設定基準*公営住宅の優先基準・家賃など、国民年金生保基準の切り下げは、あらゆる国民生活の切り下げ(ナショナルミニマム)に連動すると指摘し、政府は、連動する生活基準への配慮などをほのめかしているが、将来を含め実際はどうなるか、連動することになるのではないかと述べました
最後に、愛媛県での「生存権裁判を支援する会」の立ち上げにふれ、原告団がいない愛媛県での生存権裁判を支援する会の「運動」について、生存権裁判を支援する闘いと同時に愛媛県内の生活保護やナショナルミニマムの課題に取り組んでおり、「愛媛方式」で全国に支援する会をつくろうと結びました。
閉会あいさつでは、学習会に96名の参加があったこと。「愛媛方式」で徳島にも「生存権裁判を支援する会」を立ち上げたいとの決意が語られました。
改めて、生活保護の基礎知識を再確認できた、いい学習会でした。
では。