10月29日、しんぶん赤旗は、『日本IBMこの非道』と題して、日本IBMが行う不当解雇の実態の告発とそれと闘う労働者・JMIU労組(全日本金属情報機器労組)を一面トップで報道しました。
「ロックアウト解雇」とは~日本IBM横浜北事務所勤務の松本氏語る
ある日突然、解雇を通告し、そのまま労働者を職場から締め出す「ロックアウト解雇」。9月18日、午後5時5分前。本社のセカンドマネージャー(部長級)が職場に来て「5時からミーティングなので、待っていて」と会議室に行くよう指示しました。待っていると、セカンドマネージャーではなく、知らない二人が入ってきました。人事担当者でした。おもむろに書面を読み上げ始めます。『貴殿は、業績が低い状態が続いており~』解雇通告らしいと思いました。「ちょっと待って。よく聞き取れない」と松本さんが言ってもそのまま読み続けました。渡された書面をあわてて目で追うと、解雇理由は松本さんが業績不良だからというものでした。
▽解雇予告手当だけ支払い、8日後の26日付で解雇する▽ただし、2日後の20日までに自主退職すれば退職加算金を用意する(金額は書面に明示しない)~「(今日の)終業時刻までに私服をまとめて帰れ。明日から出社禁止だ」
すでに午後5時20分をまわっています。終業時刻の5時36分まで、あと15分です。同僚がまだ仕事を続ける中、上司の監視を受けながら、私物の整理をさせられました。「まるで犯罪者のような扱いです。同僚に挨拶すらさせてもらえなかった」 この時以来、一歩も職場に入れません。
松本さんは、これまで、会社のためを思って、社内にいる請負労働者の扱いが派遣法違反の「偽装請負」になる可能性があることを進言したり、改善を求めてきました。それで目をつけられたのかもしれないが、こんな形で解雇されるのかとぼう然としたと語ります。
解雇の撤回を求め、JMIUに加盟、東京地裁に提訴
「解雇通告をしながら、書面で白々しく雇用契約を円満に終了したい」と自主退職を勧めるなんて腹立たしい。辞職はしません。松本さんと同様に解雇された3人は、10月15日解雇撤回を求めて東京地裁に提訴しています。
整理解雇の4要件を免れるための手法
会社都合で労働者を解雇する場合、企業の自由勝手を制限する「整理解雇の4要件」という判例法理があります。
①経営が立ち行かないほど人員削減の必要性があるか②ワークシェアリング(仕事の分かち合い)や一時帰休など解雇回避努力が尽くされたか③解雇対象とする人選基準が客観的、合理的か④労働組合や労働者に対し説明し合意を得る努力を尽くしたか~
「ロックアウト解雇」は、以上充たさなければならない「整理解雇の4要件」を逃れるために、「業績が低い」など労働者個人に責任がある解雇に見せかけようとしています。
しんぶん赤旗は、日本IBMの卑劣な解雇手法を3面でくわしく報道し、厳しく批判しています。
日本IBMの人員削減計画は~
JMIUによれば、現在従業員数1万4千人を3年間で1万人まで削減する計画で、毎月100人以上のペースで退職させているといいます。
利潤追求のためには労働者を使い捨てにし、モノ扱いする資本の論理。その論理をむき出しにする大企業のひとつの実態がここにあります。大企業に対する民主的規制なしに、人間らしく生き、働くことのできる社会にはならないようです。
企業・団体献金を受けず、大企業の横暴を規制し、ルールある資本主義・経済社会の実現をという日本共産党。大きく伸ばさないとね。
では。