尖閣諸島の領有権をめぐる問題で、日本共産党は、「歴史的事実と国際法」にもとづく道理ある外交を中国や国際社会に積極的にしてこなかったことが紛争の根本原因にあると指摘しています。
尖閣諸島の領有権をめぐる問題もそうですが、民族・宗教・経済格差など様々な価値観の違いを持つ国々と日本との間で起きる諸問題について、日本はどのように他国と接するのか? この点で、日本外交の道理の無さが、日本の国際的地位を低め、国としての主権の後退につながっているように思います。
世界を平和的にリードできる「カード」がありながら…
例えば、唯一の被爆国として、核兵器廃絶をいいつつ、アメリカの核の傘に入り、核抑止力に依存する外交の矛盾。憲法九条で「戦争放棄・武力行使をしない」といいながら、アメリカの戦争に加担するなどは最たるものではないでしょうか。
アメリカに付き従う日本の姿勢は「アメリカの財布」などと揶揄される始末ですが、もし日本が、核抑止力を否定し世界の核廃絶のリーダーシップを発揮していたら、日本は世界に認められ、国際的地位は数十倍にも大きくなっていたでしょう。
中国においても、韓国においても、何か日本との紛争がおきれば、「反日感情」が盛り上がる様が報道されます。
日米軍事同盟が外交の基軸ではなく、もし、憲法九条「戦争放棄条項」を基軸とした外交路線に転換できれば、アジア諸国から、かつての日本の侵略の歴史的反目をのりこえる友好の道が大きく開き、日本の経済力・技術力がアジア全体でいっそう共有できる、そのようなことも夢ではないと思うのです。
千島問題でも…道理のない「北方4島返還」ではなく、道理ある全千島返還の立場でロシアと交渉を!
千島列島は1875年にロシアと「樺太・千島交換条約」を結び、全島が日本領土として確定しました。ところが、ソ連は第2次大戦末期に対日参戦の条件として千島列島の引渡しを要求し、千島列島と歯舞諸島、色丹島を占領したのです。これに対し、日本政府は、1951年のサンフランシスコ平和条約で、こともあろうに「千島列島を放棄する」と表明。その上で、南千島の国後・択捉両島は千島に含まれないので返還せよと、ロシアに要求しているのです。
この立場では、自ら「千島」を放棄しておいて、返せといっている事になり国際的に通用しません。交渉の影で歯舞・色丹の2島返還論が度々顔をだすのはこのような外交上の弱さがあるからです。
日本共産党は、そもそも「領土不拡大」という戦後処理の大原則を破ったソ連が破っていることが問題であり、日本政府の立場は、「千島放棄条項を不動の前提とせず、国際的道理にたった本腰の交渉」を求めています。