徳島市新町西地区再開発事業について、原市長は、徳島県との協議は「形式的なもの」「県費補助(11億7500万円)が得られなくても事業を推進する」と言い放ちました。過去、この地区の再開発事業に対する市民の反対意見書が5千通にも及んでいること。知事同意が得られず、県市協調がはかられず再開発が頓挫したことがなかったかのような市長の態度です。
この強引ともいえる姿勢はどこから来ているのでしょうか。
市長は、当選直後の記者会見でも、5月22日の住民説明会でも、「選挙に勝った」「市民の理解は得た」と盛んに選挙で勝ったことを強調しています。この手法、まさか真似でもないでしょうが、選挙に勝てば、市長がまるですべて白紙委任を受けたかのような強引さですすめる、どこか橋下流に似ています。
「ホールで活性化できない」「つくるなら良いホールを」という市民の基本的意見は変わっていない。
かつて頓挫したUR案と今回の準備組合案。徳島市は、「施設規模を抑えた、身の丈再開発」評し、高層化住宅計画をやめて眉山への眺望を妨げないことやホールの客席数を増やすなど、UR案にいする一定の批判にこたえています。しかし、批判の中心である、「音芸ホールでは、そもそも街の活性化・にぎわいを取り戻すことはできない」という批判は、依然として市民の間で変わっていません。それは、市文化センターや県郷土文化会館の利用状況に見られるように夜間や日曜・祭日など年間のホール使用回数が限られること。また、観客で訪れる人のほとんどはホールの催しのためにだけ来場していて、見終えれば帰る観客であり、ホール周辺への商業的波及効果は望めないという、音芸ホールのもつ基本的性格からきているからです。
また、住民説明会で予算規模や新ホールの施設の概要説明を受けて出た意見は、この新ホールで、県外からの観客は呼べないのではないか?という基本問題でした。県内の愛好者のキャパは多くなく、採算の合うものにするためには良いホールをつくり、県外などからも観客が呼べる舞台になるホールは欠かせないという、音楽・芸術愛好者の声も満たされたものとなっていません。
大震災を受けて、税金の使い方に対する市民の声に耳を傾けるべき
また、昨年3月11日の東日本大震災と福島原発事故は、私たちに国難ともいえる大災害をもたらしました。今なお数十万人ともいわれる被災避難者がいる中で、これらの復興が必要・緊急の課題であり、その予算は数十兆円ともいわれる税金の投入が必要となっています。これらの状況を踏まえた市民からは、この時期、新たな音芸ホール建設に多額の税金(154億円)を使うのはいかがなものかという率直な声を挙げています。そして、その代替案として、市文化センターの耐震・リニュアルし長期に使う案が急浮上しています。確かに、建設を予定ている新ホールと現徳島市文化センターのリニューアルと比較すれば新ホールがよいに決まっています。しかし、文化センターの耐震・リニューアルにかかる税金は、新ホール建設の10分の一か十分の二で収まるはずです。老朽化によって、まったく使用できないというなら止むを得ませんが、耐震・リニューアルの費用計算も起こさず「選挙に勝った」から新ホール建設ありきという姿勢は「傲慢」といわれても仕方ないでしょう。
市長に再考を促す運動が、どうしても必要なようです。
では。