今朝4月4日のしんぶん赤旗(日刊)5面に、「伝えなかった被災地のソニー雇い止め」(田代正則)という論評が掲載されています。
論評は、まず冒頭に
「東日本大震災で、被災地の雇用と産業を守ることは、復興への大きな課題です。゙世界のソニー゙が震災を口実に期間社員の大量雇い止めと事業縮小を発表した問題を、巨大メディアはどれだけ伝えたでしょうか」と述べ、
昨年5月ソニーの雇い止め・事業縮小から今日までの期間社員らのたたかいと、それを報道しないマスメディアのあり方を、「大企業の社会的責任を追及できない巨大メディアの弱点」として厳しく指摘しています。
論評は指摘します。
昨年5月ソニーの雇い止めに対し労組が宮城県にソニーへの指導要請を行った際には、「しんぶん赤旗」のほか「朝日」地方面や地元紙の「河北新報」も小さく報じました。しかし、当事者の期間社員がソニー労組に加入して声をあげたことは「しんぶん赤旗」以外の全国紙、テレビは一切報道しませんでしたと、しかし、この時ソニーは中鉢良治副会長を政府の「復興構想会議」の委員に送り出し、被災地の復興には特別の責任を自ら負っていたとした上で、被災地でのソニーのリストラ計画とそれに反対する当事者(期間社員)の声を取り上げなければ、メディアの役割が問われると論評は指摘します。
「日経」はどう伝えたか~
「日経」は6月22日付け一面で、ソニーのリストラを「効率を高める生産再編」と書き、事業縮小であることを正面から伝えませんでした。それどころか、「ソニーは被災した中小企業に宮城県の工場を無償貸与する」と復興のヒーローであるかのように見せかけました。期間社員の大量解雇については一言もふれていません。
しんぶん「赤旗」は~
これに対し「しんぶん赤旗」は、6月26日付けでソニーの決算文書を調べ、津波被害は全額保険で補填されることを明らかにし、「被災地で大量解雇のソニー仙台 津波被害は保険で補てん 雇用守る体力十分」と報じたのです。
「年末解雇」の危険が迫る中~
ソニー労組の期間社員たちは、毎回の宣伝行動のたびに、新聞社やテレビ局に取材依頼をしました。年末解雇の危険性が高まり緊迫した12月26日には、宮城県庁で記者会見を行いましたが、「赤旗」以外どのメディアも取り上げませんでした。
新聞やテレビ記者の中には期間社員の話を親身に聞いていった人が何人かいましたが、しかしそれがメディアに流れることはありませんでした。
期間社員たちは、粘り強い交渉を経て今年3月28日、「会社に正社員として再就職するまで責任を持たせる」ということで解決しましたが、結局、期間社員の声が全国紙とテレビで報道されることはなく、雑誌「週間東洋経済」で紹介されたのと地元紙の「河北新報」が3月4日付けでソニー仙台前のデモ行進を一段記事で掲載し、解決後に合意内容を4月3日付けで載せるだけにとどまりました。
長々と、論評を紹介しましたが、巨大メディアのもっている根本的ともいえる弱点とあらためて「しんぶん赤旗」の役割・魅力を認識させられたしだいです。
ちなみに徳島でも、地元大企業を相手にした労働者・労働組合の闘いについては、記事の扱いが小さく感じるのは私だけでしょうか。
では。