昨日、野田内閣が消費税増税法案を国会に提出したことを受けて、今朝の新聞は「消費税」をめぐる報道一色ですが、中でも朝日新聞が税制改革の法案提出について、「やはり消費税増税は必要だ」とタイトルをつけた「奇妙な」社説をかかげました。
なぜ「奇妙な」というのか?
それは、消費税増税は必要だの前に「やはり」と前置きし、増税の言い訳に終始していること。その言い訳も「的外れ」といわざるを得ないものだからです。
社説は、筆者がおもう 「 や は り 」 について、?マークをつけ、?なぜ増税が必要なのか、なぜ消費税なのか。 ?増税に頼らなくても、財源はあるはずだ。 ?低成長が続く中、増税して大丈夫か。 と疑問を投げかけ、この疑問に回答するという形をとって増税の必要性を強調しています。
しかし、この3つの疑問に対しても、真正面から答えているとは思えません。
なぜ消費税か?について、「社会全体で支えあう社会保障の財源には、一線を引いた高齢者から、働く現役組まで幅広い層が負担し税収も安定している消費税がふさわしい」と述べるのですが、税制の基本は、生きるための生活費に税金をかけてい為らないこと。また、税を納める力がある人が負担をするという応能負担の原則はどこにも見当たりません。応能負担の最たるものは「富裕層」への増税ですが、社説からはまず「富裕層」への課税は頭から除外されています。
増税に頼らなくても?という疑問については、行財政改革を徹底し、予算の配分を見直し、歳出を絞っていくことは当然のことだ。この点で野田政権と財務省の無責任ぶり甚だしい。というものの、「ただ、歳出削減に限界があるのも事実だ」「大なたをふるっても、多額のお金が出てくるわけではない」などと言い訳に終始します。しかし、大型公共事業や防衛費に切り込むおおなたはふるったことは一度もないではないですか。
低成長で大丈夫か?と自問自答し、経済を活性化する努力は不可欠だ。とはいいますが、『だが、「景気回復を待って」といっている間に借金はどんどん積み重なる。増税から逃げずに早く決断することが大切だ。』と言い切ります。
しかし、消費税増税で、税収全体が増える保証はどこにもありません。むしろ1997年橋本内閣の3から5%への増税では、消費税の税収は増えましたが、増税による景気の落ち込みで、税収全体では増税前より大きく落ち込みました。
社説は、「借金」が増えることを懸念していますが、税収全体の落ち込みについてなんらの懸念も示しません。消費税増税で税収全体が落ち込めば、それこそ「借金」はどんどん増えるのではないでしょうか。
やはり…消費税増税は必要なのでしょうか? ますます疑問は広がるばかりです。
では。