「消費税10%」朝日新聞の評価に物申す

 政府・与党の社会保障改革検討本部(本部長・菅直人首相)が、2010年代半ばまでに「消費税率を10%引き上げる」とする政府・与党案を決定しました。

 これについて朝日新聞は、民主党内の増税反対論や与党・国民新党に配慮し、増税時期を2010年代「半ば」とぼかしたこと。閣議決定ではなく、閣議報告に留めたこと。経済状況好転が増税の条件としたこと。など幾つかの条件がつけられてはいますが、消費税10%増税を明記した事を高く評価しています。

『増税時期は10年代半ばまでとのあいまいな表現に後退したものの、消費税増税の必要性や10%への引き上げをはっきりと書き込んだ。政権交代から2年弱を経て、二大政党が消費税増税の基本的な考え方で足並みをそろえたことに、今回の一体改革の意義がある。国の地方を合わせた長期債務残高が900兆円にせまる日本の財政は、国債の格下げ警告を受けるまでもなく危機的な状況にあり消費税と社会保障改革は待ったなしだ。社会保障費は年間28兆円を超え、一般歳出の半分以上を占める。消費税率を5%幅上げれば税収は約13兆円増えるが、当面の財政赤字の拡大をやわらげることは出来ても、財政再建の道筋がつくわけではない。消費税は、お年よりも含め、広く薄く負担するという意味で、世代間の不公平を是正するという正確をもっている。所得の高い人に応分の負担を求める観点から、所得・相続税の見直しを含めた税制の抜本的な改革が求められている。与野党はそれぞれ党内事情を抱え、消費税増税に向けた議論が本格化する機運は乏しい。政治には、将来世代への負担の付回しを断ち切る覚悟が必要だ。』と、朝日新聞の星野眞三雄氏は「負担先送りを断て」といいます。

この論評に二つの点で、批判したいと思います。

 一つは、900兆円の危機的財政はどのようにして生まれたのか、その責任の所在がまったく欠落していることです。星野氏は2大政党が足並みをそろえたことを意義があると評価しますが、この保守2大政党こそ、財界・アメリカ言いなりに「財政破綻」をさせた責任者ではありませんか。長期債務900兆円は、どこに消えたのか?次々と進められた国策・巨大プロジェクトや軍事費などそれらに群がる大企業と政治家・高級官僚らの懐に消えてしまったのではないでしょうか。だとすれば、財政危機をつくった責任者たちとそれで甘い蜜をなめてきた者たちにまず一番に負担をしてもらうのが筋です。それどころか、引き続き大企業への法人税減税はOKという立場では話にもなりません。

二つは、消費税が、「世代間の不公平を是正する」性格をもっているとしている点です。これは何を言わんとしているのか?いろいろ考えてみましたが、資産のある裕福な高齢者から、プアーな若者へ?それとも金のない年寄りからも広く薄く負担することで、世代間の不公平を是正するという意味でしょうか。それとも国民全員から徴収するという意味で、「世代間」の是正などという言葉をもってきたのでしょうか。

消費税は「消費」にかける税ですから、どんな人でも最低限生存するために必要な「消費」はかかせません。例えば、お金持ちも貧乏人も一日に食べるコメの量は変わりません。ですから欧米と違い生活費すべてに消費税をかけるシステムの日本では、とりわけ所得の低いひとに負担が重い「逆進性」指摘されていることはご承知の通りです。

 消費税が上がれば、「消費」税を納めることが出来ない人は、その「消費」物を手に入れることをあきらめざるを得ません。最低賃金で生活体験をしてみれば良く分かりますが、金がなければ、食事も服も娯楽も控えなければなりません。これは、お年寄りであろうが、若者であろうが、世代間にかかわらず共通の問題なのです。消費税が上げられて、一番困るのは、年寄り・若者にかかわらず、その分、モノが買えなくなる低所得者です。社会保障問題で「世代間の不公平是正」などと、問題の本質が「世代間」にあるかのような論評が多くありますが、今日の社会保障の根本問題は、財政破綻の原因とも符合しますが、社会保障に税金をつかわず、アメリカと財界への大盤振る舞いがしているところが問題なのです。その証拠に、日本の主要大企業(資本金10億円以上)は、年間10兆円規模で内部留保を拡大し続け、今日260兆円を超える莫大な内部留保をもち、従業員の所得は減少しているのに役員報酬は2倍以上、株主配当を増やし続けているではありませんか。

マスメデァは、国民の側に立っているのか?疑いたくなる報道姿勢にひと言、いっておきたいと思います。

では。

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