公務員の賃金削減、民間労働者の賃下げに波及

 民主党政権は、国家公務員人件費の2割削減をマニフェストに掲げ、東日本大震災でも復興財源として1割削減案を労働組合に提示しています。

 このことを受けて、今日25日のしんぶん赤旗(日刊)の5面には、『国家公務員人件費2割削減』をした場合の影響について、労働運動総合研究所が全労連や国公労連、自治労連などの協力でまとめた試算が掲載されています。

試算によると、民間職場でも公務員賃金が参考にされるため、国家公務員64万1千人の人件費を削減すると、それに連動して、地方公務員286万2千人、独立行政法人、私立学校、民営病院、社会福祉施設など官民20業種625万8千人に波及し、2割削減の場合、経済的マイナスの影響は、家計収入減少額6兆9420億円(一割削減の場合は3兆4710億円)となり、家計の消費減少額は5兆1874億円(同2兆5937億円国内生産減少額10兆7010億円(同5兆8472億円)国と地方の税収減額8133億円(同5401億円)となると報じられています。

 私は、公務員の人件費について、高級官僚の天下りや退職金の二重取りなどもってのほかで反対です。また、公務員は全体の奉仕者として仮にも批判されることのないよう効率よく業務の遂行に当たるべきだと考えています。しかし、現業部門・一般行政職の一律削減には反対です。なぜなら公務労働は、営利を目的としてはならない事業や特定の人の利益に偏っては為らないもの、また、職務上の守秘義務やプライバシーの保護など、国民全体の奉仕者として必要な業務を行なうことが求められており、その職務の質を保つ上からも、業務を遂行するにふさわしい体制(人員)と一定の賃金水準を保つ必要があるからです。また、公務員労働者の賃金水準は、民間労働者の賃金水準と密接不可分にかかわっていて、公務員の賃下げは、必ず民間労働者の賃金切り下げにつながり、結局は、働く労働者全体の賃金の押し下げとなってしまいます。

 今日の財政危機、経済危機は、過去アメリカ・財界言いなりに、湯水のごとくムダな大型公共事業を推し進めてきたこと。さらに、正社員から派遣など低賃金の非正規労働者への置き換えがすすめられたこと。また、失業者増と非正規労働者の低賃金をてこに、正規労働者の賃金も抑制され、全労働者の賃金が抑えられた結果、消費不況・経済危機を深めているものです。

 従って、官であれ民であれ、安易な労働者の賃金削減を許さず、今こそ官・民労働者が団結し、この10数年、労働者の賃金抑制で史上空前の儲けを上げ、244兆円もの「内部留保」を抱え込んでいる大企業にこそ、その利益の社会的還元を求めるべきではないでしょうか。

カテゴリー: 政策・見解 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です