あたらしい憲法のはなし(3)

これまであった憲法は、明治二十二年にできたもので、これは明治天皇がおつくりになって、国民にあたえられたものです。しかし、こんどのあたらしい憲法は、日本国民がじぶんでつくったもので、日本国民ぜんたいの意見で、自由につくられたものであります。この国民ぜんたいの意見を知るために、昭和二十一年四月十日に総選挙が行われ、あたらしい国民の代表がえらばれて、その人々がこの憲法をつくったのです。それで、あたらしい憲法は国民ぜんたいでつくったということになるのです。
みなさんも国民のひとりです。
そうすれば、この憲法は、みなさんのつくったものです。
みなさんはじぶんでつくったものを、大事になさるでしょう。
こんどの憲法は、みなさんをふくめた国民全体でつくったものであり、国でいちばん大事な規則であるとするならば、みなさんは、国民のひとりとして、しっかりとこの憲法を守ってゆかなければなりません。そのためには、まずこの憲法に、どういうことが書いてあるかを、はっきりと知らなければなりません。
みなさんが、何かゲームのために規則のようなもをきめるときに、みんないっしょに書いてしまっては、わかりにくいでょう。国の規則もそれて同じで、一つ一つの事柄にしたがって分けて書き、それに番号をつけて、第何条、第何条というように順々に記します。
こんどの憲法は、第一条から第百三条まであります。
そうしてそのほかに、前書がいちばんはじめにつけてあります。これを「前文」といいます。
この前文には、だれがこの憲法をつくったかということや、どんな考えでこの憲法の規則ができているかということなどが記されています。
この前文というものは、二つのはたらきをするのです。
その一つは、みなさんが憲法をよんで、その意味を知ろうとするときに、手びきになることです。
つまり、こんどの憲法は、この前文に記されたような考えからできたものですから、前文にある考えとちがったふうに考えてはならないということです。
もう一つのはたらきは、これからさき、この憲法をかえるときに、この前文に記された考え方と、ちがうようなかえかたをしてはならないということです。
それなら、この前文の考えというのはなんでしょう。
いちばん大事な考えが三つあります。それは、「民主主義」と「国際平和主義」と「主権在民主義」です。
「主義」という言葉をつかうと、なんだかむずかしくきこえますけれども、少しもむずかしく考えることはありません。
主義というのは、正しいと思う、もののやりかたのことです。
それでみなさんは、この三つのことを知らなければなりません。
まず「民主主義」からおはなししましょう。  つづく

去年もらって植えた木に花が咲き始めました。

カテゴリー: みたおさむ物語 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です