こんなに違う「新聞」の見出し!どちらが的を射ているか

 5月13日の朝刊は、12日に厚生労働省が公表した「社会保障改革案」について一斉に報道しています。この改革案は、政府・与党の「社会保障改革に関する集中検討会議」で提示されたもので、菅政権が6月末にまとめる消費増税と社会保障一体改革にむけた「たたき台」とされるものです。

朝日新聞(3面)の見出しは~「現役世代への支援全面」「社会保障改革具体案は先送り」です。

徳島新聞(1面)の見出しは~「子育て・就労支援強化」「一体改革・税で低所得者対策」とあります。

しんぶん赤旗(1面)の見出しは~「社会保障切捨て加速」「厚労省案・自公路線継承宣言」となっています。

 まず、徳島で一番多くの方が購読されている「徳島新聞」の記事の扱いですが、見出しに続いて、リード記事で「厚労省が、世代間公平と共助を柱に持続可能な制度を目指すとし、子育て家庭や若者の就労への支援強化など若年層向けの給付拡大や年金、医療、介護の各保険制度で税財源を活用した低所得者の負担軽減を強調した」と述べる一方で、続く本文では、「一方で、高齢者を含む高所得者の負担増を示唆」とか「東日本大震災の影響で~改革で給付の重点化、優先順位の明確化が求められ、給付の拡充の難しさを指摘」さらには、「いったい改革の最大の焦点の年金は、民主党がかかげる公的年金一元化と最低保障年金の導入は、検討するとの表現にとどめ」などと続きます。

次に、しんぶん赤旗では、「これまで以上に給付の重点化、優先順位の明確化が求められる」として、いっそうの給付の削減の方向を打ち出したと述べ、めざす社会保障に「世代間公平」をあげていることについて、「高齢者と現役世代を対立させて高齢者に負担増・給付減を押し付ける姿勢を鮮明にした」とあり、国民がともに助け合う「共助」についても、「公的責任を縮小する姿勢」と改革の方向をするどく批判しています。

朝日新聞は、「社会保障給付費の7割は、年金や介護などの高齢者向けの制度。一方財源は現役世代が負担する保険料や借金に頼ってきた。そこで厚労省案では、現役世代が不安、負担感を強めていると分析。若い世代がメリットを実感できる制度を充実させる考えを打ち出した」と述べ、医療や介護で必要な給付とバランスの見直しは「給付の重点化」「高齢世代と現役世代の公平負担」と記すにとどめたとしています。

三紙三様の報道ですが、私には、徳島新聞は「厚労省」の意向をそのまま「見出し」として扱われ、見出しからは、社会保障給付の削減や高齢者への負担増などは伺えないもので、政府が子育て就労支援・低所得者対策に乗り出したかのような見出しで、本文と見出しのギャップがあまりにも違うのではと感じました。朝日も「現役支援全面」の見出しで、厚労省案の持っている全体的な給付の削減や高齢者負担増には読者に関心を呼ぶものとして打ち出していません。この点、赤旗は、見出しでも本文でも、厚労省案の狙いと問題点をずばり打ち出しています。同じ厚労省の発表を基にした記事でも、一般紙と赤旗とでは、これだけの違いがあるのかと、あらためて、しんぶん赤旗の魅力にふれた思いがしました。

では。

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