12月1日青少年センターで開かれた徳島弁護士会主催の「徳島東警察署の移転」を考える、基調講演とパネルディスカッションをお聞きしました。
中でも興味深かったのは、渕野貴生先生(立命館大学)の「近代刑事司法の観点から」と題して意見表明された内容です。裁判所市敷地跡への警察移転のもたらすものは、「公正な裁判所の在り方」を阻害する恐れが多分にあるとのご意見でした。
なるほど、人は誰でも公平・公正な裁判を受ける権利があり、裁判所は捜査機関とは違って、捜査、起訴する側と被告(捜査起訴される側)の主張や立証を中立的立場から客観的に判断するところです。被疑者となる人、被告人となる人から見て裁判所が捜査する側(警察)と一体であるかのような印象を持たれることは絶対にあってはならないことで、渕野貴生先生に言わせると、「公正らしさ論」はこれまで裁判所がもっともこだわってきたことだといいます。
このような観点からすると、むしろ東警察署の移転建設場所は、裁判所跡地ではなく、よりふさわしい建設場所があるのではないでしょうか。
そして、少し引っかかったのが、弁護士会の質問に対する県警本部の回答です。
回答に、東署移転について「部内アンケート」や「有識者会議」の提言を踏まえ、
・事件、事故に迅速、的確に対応できる場所であること。
・災害発生時に警察力を発揮できる場所であること。
・県民の利便性に配慮した場所であること。
などの観点から~決定いたしました。とされていますが、東署建設予定の裁判所跡地は現在の東署敷地より約1000㎡も敷地が狭く、当初予定していた「95台」の駐車場スペースもなく、車を利用する県民の利便性に配慮されているとは思われません。また、建設場所は市内有数の交通量があり、交通混雑のネックとなっている地点であり、迅速出動という点でむしろ難が生ずるのではないでしょうか。