文化センターの耐震リニューアルに関する調査報告

徳島市文化センターの耐震リニューアルに係る「企業組合一級建築士事務所・ひと・まち設計」への意見聴取報告書

調査日時  2016年11月14日(月)午後1時より3時

調査場所  京都市山科区「ひと・まち設計」事務所

対応者   ひと・まち設計代表理事・管理建築士 石上圭介氏

調査の目的

徳島市文化センターは耐震診断の結果「休館」となり千人規模のホールが無くなって、2年を迎えようとしています。これまで、文化センターを利用していた「団体」はホールの確保に困難をきたし、「文化の空白」を早く解消してほしいとの要望を徳島市に提出し、休館中の「文化センター」の耐震リニュ-アルの実施を求めています。一方、徳島市は遠藤市長のもと、文化センターの耐震リニューアルの検討を市庁舎内チームに指示しましたが、同チームの検討結果は、実施は可能だが、舞台や音響が低下し「課題」が多いとの報告を行っています。これら、庁舎内における検討結果の報告について専門的立場からのご意見をお聞きするため「一級建築士ひと・まち設計」にお伺いすることとなりました。本調査は、久次米尚武議員と共に行いました。

以下、ひと・まち設計の石上氏から意見聴取の内容について、報告します。

1. まず、「庁舎内検討」という検討の在り方とその結果について

この庁舎内検討チームに現役の一級建築士が参加しているのかとの疑問が提示されました。検討された「耐震案」は、一例に過ぎないし、本格的な「耐震リニューアル」の検討を行うのであれば、実施設計の前に「基本設計」での検討が可能で、そのような検討を新市長就任後、直ちにしておけば、いくつかの「耐震改修案」について専門家の評価を含め検討できたはずで、現行の「評価」とは違った可能性があつたのではないか。

2. 今から、専門家の評価を交えた耐震リニューアル(案)を考えた場合、どのような「スケジュール」が考えられるか~

まず、現行の耐震改修(フレーム等)に代わる「基本設計・基本計画案」の策定で半年~3か月、この経費は7~8百万円程度で、その後行われる「実施設計」の経費に含まれる。仮に、基本設計の結果、耐震基準を満たすような「基本計画」ができなければ実施設計に入る前に、耐震改修を断念する。その後基本設計に半年、耐震改修で2か年として、基本設計にかかってから3か年程度の期間で耐震リニューアルとなるのではないか。

3. 耐震リニューアルによって、舞台の空間が狭くなるとの評価について~

天井の耐震化について、市議会・総務委員会で提示された図面などを見る限り、舞台空間を保ちながら耐震化をはかれるのではないか。

4. 施設の床面が現行「建築基準法」に合致せず、そのことによって、「エレベーター」等の増改築ができないと説明を受けている件について~

旧建築物にあっては現行建築基準法に合致していないことはよくある話で、旧建物をすべて現行基準法に合うようにしなければ、増改築できないなどということはない。旧施設の建築基準法を理由に増改築ができない理由としているとすれば、これは、「嘘の類」に近い説明で、例えば、新エレベーターの設置は「現施設」の構造と切り離した構造で設置が可能とのことでした。

以上のことから、

係る設計費が5千万円と言われている実施設計の前に、7~8百万円程度でできる基本設計を実施し、市民の要望に応え得るものであるかないか検証する必要性を感じました。

また、現在徳島市においては「有識者会議」において検討がなされつつあること、札幌の市民ホールを文化センターに代わる施設として活用する案も提示されていることなどについて報告したところ、石上氏は、文化センターの在り方について、壊さず改修する方が、産業廃棄物を出さず社会の「エコ」のニーズに沿うものと思うが、改修してでも使ったほうが良いかどうか決めるのは結局市民で、市民の「文化センター」に寄せる愛着や思いがどれだけ深いか、改修する際の決め手となるのではないでしょうかと感想を述べられました。

以上、ひと・まち設計への政務調査報告とします。

カテゴリー: 政策・見解 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です