26日付「しんぶん赤旗」第14面に、”「国民を危機に、申し訳ない」東電「協力企業」社長、胸中語る 「共産党の指摘正しかった」”の記事が掲載されました。全文を紹介します。
「国民を危機に、申し訳ない」東電「協力企業」社長、胸中語る 「共産党の指摘正しかった」
東日本大震災の津波を発端に広範囲での放射能汚染という世界有数の「過酷事故」に発展した東電福島原子力発電所。26日は、同原発が運転開始から40年になります。同原発を東電とともに建設し、その後も支えてきた「協力企業」社長が25日、本紙の取材に応じ胸中を語りました。
同社は福島第一原子力発電所が運転開始した1971年3月から原発のメンテナンスを受注してきました。
東電は2号機が爆発した今月15日午前6時すぎ、同社に技術者の派遣を要請。「従業員を地震と津波、そして爆発から避難させてほっとしていたが、しかたなく現場にもどした。従業員は放置できないと家族を説得してくれた。でも『行ってほしくない』が家族の本音だ。戦場に子どもを送り出す気持ちだった」と言葉をつまらせます。同社長によれば今も、高濃度な放射性物質で汚染された原子炉建屋内で連日、数人が被ばく線量計をにらみながら機器やセンサーの点検、補修作業にあたっているといいます。
従業員の家族からも震災の犠牲者が出ました。「従業員の一人はやっと自宅にもどったが津波で両親がさらわれ行方不明になっていたことを知った。父親の遺体がみつかり昨日、火葬した。母親が見つかるまで葬儀はしないとがんばっている」
原発の爆発、放射能漏れによる広範囲の放射能汚染による地元住民はじめ県民の大量避難という事態に社長は謝罪しました。
「原発をつくるときに地元のじいちゃん、ばあちゃんに『広島、長崎の原爆とは違う、絶対に安全だ』と空威張りしてきた。事故はわれわれが住民や県民、国民を裏切ったことになる」
同社長は、日本共産党や住民運動が東電福島原発の問題点を指摘し、安全を一貫して求めてきたことについてこう述懐しました。「共産党の原子力政策の指摘は以前から正しいと思っていたし、勝手な言い分になるが反対運動もあって当然と思っていた」そして声を詰まらせて、「地方から出てくるとき、祖父母が繰り返してきた言葉が『人の役に立て。人を裏切ることだけはするな』だった。私は先祖や国民を裏切った。国民を危機に追いやった一人だ。申し訳がたたない。今は事故の収束に全力をあげるしかない」(山本眞直)