国際競争力を叫ぶ多国籍大企業に踊らされないようにしたいね。

 私は、しんぶん赤旗・徳島新聞・朝日新聞の3紙を購読しています。今日の3紙にオモシロイ(経済の見方)を発見しました。

まず、徳島新聞4面「経済活性化 糧どこに」の記事中で~

記事はまず、日本と中国のGDP逆転について、「われわれは順位を争って経済をやっているわけではない」との与謝野経済財政担当大臣の言葉を紹介。続いて、GDPの順位の歴史ふれる。そして、「日本が空洞化してしまうのはつらいが、われわれも出て行かないといけない」と海外で稼ぐ大企業の役員の姿を報じた上で、内部留保のためこみが財布の紐を固くしていると次のようにいいます。 ~…だが企業が海外市場で獲得した゛果実゛はまだ、従業員らに還流していない。景気の先行きに不透明さが拭えないとして経営者が資金を溜め込んでいるためだ。賃下げや雇用の絞込みが続く中、国民が財布のひもを固くするのは『全くの道理だ』(経済アナリスト)

 朝日新聞~9面「GDP成長率 年1.1%減」との報道記事から~ただ、日本経済が持続的に回復していくには、~個人消費を増やす好循環が生まれるかどうかにかかっている。こうした流れが変るかどうかの試金石となる春闘は、今週から交渉が本格化する。だが経団連は定昇以外の賃上げについては否定的だ。自動車や電機など製造業大手の労組では賃上げ要求を見送り現状では所得の大幅改善は見込めそうにない。と述べ、朝日は、経済の持続的回復と活性化のためには、所得増が必要だが、日本の労使関係を見れば、現状ではできそうもないと悲観的です。

 また朝日34面「職場のホ・ン・ネ」からは、低迷する日本経済のもとで、個人の努力の限界を超えた42歳男性の悲痛な声が「職場のホンネ」で語られています。~「警備の仕事を5年ほど続けてきました。大手3社で働きましたが、どこも一年契約で不安定。そこで「社員登用制度あり」と求人広告に書かれた別の警備会社移りました。面接でも「1年後に正社員になれる」と言われ、頑張りました。でも、1年以上働いてもそんな話は全くありませんでした。裏切られた気持ちで昨秋辞め、新しい仕事を探しています。母と2人暮らし。今のままでは、家庭を持つことも出来ません。(千葉県求職中42歳男性)」

 国民の財布のひもを固くするのは必然で、こうした経済のあり方を見ると一見どうにもならない閉塞感に陥りがちです。

 しかし、同じ2月15日付けしんぶん赤旗の10面にちょっと元気になる経済の見方が載っています。「国際競争力」強化は生活向上に役立つか・財界の賃上げ拒否を考える~   という藤田実氏(桜美林大学教授・経済学)の論文です

 藤田氏は、政府・財界がいう「国際競争力」を強化したら、国民生活の向上に役立つのでしょうかと真正面から話を切り出し、それどころか国際競争力の強化は、逆に国民経済や国民生活に悪影響を与えるようになっているというのです。何気なく「国際競争力」って必要で良いことだという観念でいた僕は、まず冒頭からガーンでした。 しかし、なるほど読んで納得です。ちょっと論文を端折って恐縮ですが、全文はぜひ赤旗でお願いします。

 藤田氏の話を私の解釈で要約すると、まず、第一に国際競争力とは? 外国との比較で世界市場での強さの程度を表し、国際競争力を強化するということは、他の国と比べて常に人員を削減し出来るだけ少ない労働者とできるだけ少ない費用で、沢山の生産物を生産しようとするので、派遣切りで多数の労働者を路頭に迷わせ批判を浴びたのも、これらは国際競争力を重視することから必然的に生じたものであること。そして、第二に、一部輸出大企業が国際競争力を強化すればするほど、輸出産業よりも生産性の低い産業はその存立基盤が掘り崩される。なぜなら、自由貿易の下では、生産性の高い財を輸出して、生産性の低いざいを輸入したほうが一国の経済にとっては「有利」てなるからで、例えば日本は生産性の高い自動車を輸出して低い農産物を輸入したほうが良いという事になり、競争力のない産業は壊滅してもしかたがないという議論に通じ、一部輸出大企業が国際競争力を強めることは、国内の他の産業を衰退させ、そこで働く人たちの賃金低下や雇用の不安定化を促進すること。第三に、一部輸出大企業が輸出を増大させればさせるほど円高になり、交易条件が悪化しそれに対応して、海外に生産拠点を移転、国際規模で低賃金労働を利用することとなり、国内の産業空洞化進め、一方、多国籍業化する中で輸出や投資で獲得した収益を自企業の競争力維持のために、国際的な観点から再投資することになり、必ずしも日本国内に投資するとはかぎらないこと。このように、一握りの輸出大企業が国際競争力を強めようとすればするほど、労働者は賃金の抑制や長時間過密労働を強いられ、それ以外の産業や企業は苦境に陥り、輸出大企業が多国籍企業となった現在では、企業の国際競争力の強さと国民生活の豊かさとは結びつかない。従って、国民生活を豊にするためには、国際競争力を強めるのではなく、さまざまな産業からなる国内経済を強める必要があり、そのためには需要の創出が重要なので、国民の購買力を強めること。基本的には労働者の賃金水準に依拠するので、賃金の引き上げが必要だといいます。藤田氏は今春闘では、こうした賃金と経済との関係を考えて賃上げを目指すべきです。と話を締めくくっています。以上ご紹介です。

 今朝は、昨日の大雪(徳島市内6cm)が凍結するのではと心配していましたが、比較的暖かな朝で凍結も無く健生病院前で、支部の皆さんと日本共産党 演説会(2月18日夜7時~市田忠義・文化センター)の案内ビラを配布しました。

では。

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