新町西再開発に係る住民監査請求を棄却した監査結果の不当性について

徳島市監査委員(4名)は6月12日、徳島市議会議長に「徳監第62号」による通知をおこない、新町西地区再開発にかかる「都市計画決定」の見直しと、見直し手続きを行わないまま支出された公金の返還等を求めた「住民監査請求」を棄却しました。
監査委員報告の「請求の棄却」に至る理由づけですが~①市長にその裁量権があり②その市長が裁量権によって判断された内容が「合理性を欠くものではない」と結論づけるものとなっています。

この請求棄却について、監査報告が棄却理由とした論点の不当性について、私見として整理し報告しておきます。

1. 小ホールの建築場所の変更の理由も聞かず、また説明も受けず、都市計画決定の「見直し」を市長の裁量権とする不当性

監査委員は、都市計画の変更を要する場合に関する根拠規定について、都市計画法第21条の「その他都市計画を変更する必要が生じたとき」とする一方で、この根拠(21条)には、どのような場合を指すかについて法令に具体的定めがないといい、その判断主体は都市計画決定者(都市計画法第15条)である徳島市とならざるを得ず、当該市長の「裁量」により判断するほかはない等と恣意的な判断しています。しかも奇妙なことに、監査委員は監査対象課から具体的な「変更理由」の説明を受けていません。都市計画決定の変更の必要性については、法の条文で「その他都市計画の変更の必要が生じたとき」とあるわけですから、監査委員は当然、市長の裁量権云々の前に、いの一番に、小ホールと住宅などの街区変更をなぜ行ったのかの理由を問わなければならないはずです。

2. 監査担当課から監査委員へ「変更理由」の説明なし

監査対象課からの説明では、「街区をまたいで施設が入れ替わっても全体として用途に変わりがなく、都市計画の区域や事業目的に変更がないことから、本市の定めた都市計画の決定内容の方向性に合致している」「都市計画の決定権者である本市としては、都市計画の変更は必要ない」などと都市計画決定の見直しの必要性がないとの意見を述べ、変更した事実は認めていますが、肝心かなめの「変更の理由」については一切説明していません。

3. 主要用途の変更がなぜ行われたのか、具体的説明なしに、「施設は位置の変更は、施設区域内を一塊で捉えてみた場合、市長判断は合理性を欠くものではない」と結論づける論理の矛盾

本件の争点は、小ホールと住宅の街区の変更などの事実関係に争いはなく、そのような変更が「都市計画決定の見直し」に当たるかどうかが争われたものです。

徳島市や監査委員は、「見直しに当たらない」との結論を導き出していますが、都市計画法第21条は「その他変更の必要が生じたとき」は見直すとしており、どのような変更の必要が生じたのか説明なしに、市長の裁量権などと言う一方的解釈で法を曲げることは許されません。

4. 都市計画決定の変更は、そもそもなぜ行われたのか? 「 変更の必要が生じた」からではないのか。

徳島市が、小ホールなどの建築場所をなぜ変えたのか監査報告の中で理由説明がありませんが、小ホールの場所の変更は、一般的に見て、人の流れも変わり、そこに張り付く商業施設のあり方にも大きく影響するのではないでしょうか。住宅が川側から山側へ建設場所が変われば、住宅から見える風景や居住環境なども大きく変わることになります。

徳島市は、この住民監査請求がなされる前の説明では、「準備組合の意向をくんだ」などと説明してきています。とすれば、この再開発事業を推進する準備組合の必要性によってなされた、まさに「変更」であり、反対する地権者また利害関係者、市民に対し、計画変更に関する縦覧や意見提出などの手続きを経て、当然都市計画決定の「変更」手続きを行うべきものであります。

現在、準備組合は、この「変更手続きを待たず」本組合設立申請を徳島市に行っていますが、本組合設立によって、反対する地権者も組合に強制加入となる再開発事業にあっては、法の厳格な執行が求められるもので、市長の裁量権に委ねるとした本請求棄却決定の不当性は明瞭ではないでしょうか。

以上

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