2013年8月11日、 いわゆる「ブラック企業10+ 件」問題を広く伝え、改善することを目的とした「ブラック企業10+ 件大賞」の「表彰式」が都内で開催され、ワタミフードサービスが大賞を受賞した。弁護士、ジャーナリストなどが主催するもので、今回で2回目。過度の長時間労働などを行っているとされる企業8社を「ノミネート」し、表彰という形で警鐘を鳴らすものだ。ワタミは並行して行われていた一般投票でもトップとなり、「ダブル受賞」。このほか、東北大学が特別賞を受賞するなどしている。
「ワタミ」のノミネート理由は~
1.ワタミフードサービス株式会社
居酒屋チェーンや介護事業を全国展開している同社では、2008 年6 月に正社員だった森美菜さん(当時26 歳)が、厚生労働省が定める過労死ライン(月80 時間の残業)をはるかに上回る月141 時間の残業を強いられ、わずか入社2 カ月で精神疾患と過労自殺に追い込まれた。昨年2 月に労災認定されたあとも、同社は責任を認めることなく、創業者である渡辺美樹会長は遺族からの求めに応じず、いまだに面談も謝罪も拒否している。 亡くなった森美菜さんは連続7 日間の深夜労働、午後3 時から午前3 時半の閉店まで12 時間働かされた。閉店後も遠く離れた社宅には始発電車まで帰ることもできず、休憩室のない店舗で待つしかなかった。ほかにも休憩時間が取れない、休日出勤、強制的なボランティア活動、早朝研修、給料から天引きで買わされた渡辺会長らの著書の感想文提出などで疲労は蓄積した。残業に関する労使協定(36 協定)も店長が指名したアルバイトに署名させるという違法行為が労働基準監督署から是正指導を受けた。
遺族と支援する労働組合は、森美菜さんの労働実態と原因の解明のために経営者ら責任ある立場の人との面談を同社に求め続けているが、同社は顧問弁護士のみとの面談を除いて応じる姿勢を見せていない。逆に同社は昨年11 月、遺族を相手取って同社が支払うべき損害賠償金の確定を趣旨とした民事調停を申し立てた。
報道によると、同社が全社員に配布している「理念集」という冊子には「365 日24 時間死ぬまで働け」と書かれているという(『週刊文春』2013 年6 月13 日号)。
「ブラック企業」を国会で取り上げ、国会で真っ先に取り上げ社会問題化したこともあり、政府厚労省は9月から、過重労働や法違反の疑いのある企業を対象に立ち入り調査を行うと発表しています。
では。