円安101円台~新聞各紙の見出し・論評は?

5月11日、4年ぶりに101円台となった円の為替相場について新聞各紙は一面で報じています。

地元徳島新聞は、~

 24社「円安で悪影響」原料・燃料高騰し負担増と題して、徳島新聞社が県内主要50社に実施したアンケート(3月下旬送付4/15まで・98円台前半)の内容を一面で報じています。結果は、円安が事業活動に与える影響について、 少し悪い14社、かなり悪い10社。合わせて24社が悪い影響があると回答。一方少し良いは10社で、かなり良いとした企業はなかった。影響はないが13社で、県内の多くの企業で円安による悪影響を懸念する声が強まっている。『期待先行で景気回復の実感がない中、急激に振れすぎた円安は多くの中小企業にとって不安材料だ』との徳島商工会議所・近藤宏章会頭のコメントを紹介しています。

 朝日新聞は~一面では「長期金利は上昇」と円安の動きと株価の推移を伝えただけですが、二面で、「円安 吉か」と題して、日産のカルロス・ゴーン社長の「アベノミクスのおかげで、日本は世界の中心に戻ってきた」(10日記者会見)のコメントとともに、円安で利益を上げる輸出・大企業(自動車など)と株高で潤う証券会社を紹介。一方で、鉄鋼や運輸には実感欠くとしています。そして、「暮らし」について、食用油の再値上げへの懸念を示し、家計にはまだ恩恵は届いていない3月の現金給与総額は前年同月より0.6%少なく2か月連続で減った。「経済動向のカギを握るのは、円安で恩恵を受けた企業を中心に賃金が上がるかどうかだ。そうでなければ物価は上がるばかりで、円安のデメリットばかりが目立つことになる」(みずほ総合研究所・前川亜由美シニアエコノミスト)との指摘を紹介しています。

 しんぶん赤旗の見出しは~「円安、暮らし・営業を直撃

 輸入物価が上昇 悪影響数々と題した「解説」を一面に、所得が増えずに物価だけが上がって苦しめられるのは消費者や中小企業。得をするのは一部の多国籍企業、大資産家、投資家~「アベノミクス」が誰のための政策であるか明白ですと報じています。

 また、他紙にない特徴的報道として、3面で、「儲けるのは誰」と題し、パチンコ・パチスロ機械メーカーの株価が急上昇し資産を増やしている人を紹介。セガサミーの里見治氏の642億円を筆頭に、SANKYOの創業者の毒島邦雄氏409億円、その長男で現会長の秀行氏220億円、平和の大株主の石原昌幸氏239億円と、株価急上昇の恩恵の実態を紹介し、石原慎太郎衆議院議員や橋下徹大阪市長などがカジノ合法化を主張してきたのをはじめ、自民・民主・公明・維新・生活・みんななど各党が参加する通称・カジノ議連(発足時最高顧問は安倍晋三氏・麻生太郎氏)の発足と、日本では非合法となっているカジノ解禁期待相場がらみの実態を解明しています。

 日本共産党は、第7回中央委員会(7中総)で、アベノミクスについて、安倍政権が宣伝している「3本の矢」について、①投機とバブルを煽る異常な金融緩和、②不要不急の大型開発へのバラマキ、③「成長戦略」の名による雇用ルールの弱体化、④消費税大増税、⑤社会保障大改悪の、「5本と毒矢」と評し、この中に、国民の所得を、働く人の賃金を増やす「矢」は一本もなく、あるのは所得と賃金を奪う「矢」ばかりだと厳しく批判するとともに、日本経団連をはじめとする大企業・財界は「アベノミクス」を無責任に礼賛し、その推進を呼号するが、その多くが、多国籍企業で、日本経済をどうたてなおすかについての責任を放棄していると指摘しています。

 大手メディアは朝日新聞のように「吉か凶か」と二分する見方のようですが、しんぶん赤旗の「5本の毒矢」という見方は明快ですね。

 では。

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