TPPと「自由」

13日から横浜でAPECが開かれる。今朝の朝日の社説では、議長国・日本の決断が問われているとして、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」への参加について、『環太平洋に自由貿易圏ができようとしているのに参加しないという選択はありえない。』と断言し、『首相はここで迷ってはいけない。』とまで云う。

 一方、徳島新聞はTPPについて共同通信の全国電話世論調査の結果を発表し、TPP参加について、賛成派46.6%、反対派38.6%と発表した。特に農林漁業従事者で反対派は88.1%に達し、関税自由化で大きな影響を受ける生産現場の抵抗が鮮明になったと報じている。

 このTPP・環太平洋パートナーシップ協定について、日本共産党も僕も明確に反対の立場だ。

 朝日の社説で「通商国家として生きる」「自由貿易圏」この二つの言葉に強い『魔力』のようなものを感じた。ここには日本は資源のない国、だから…、資本の無限の自由が「幸福を呼ぶ」かのようなメッセージを発しているように思われる。

 しかし、「自由」には「規制」も必要だ。弱肉強食の「新自由主義」という「自由」の論理がワーキングプア(年収200万円以下の労働者)を生み、格差を貧困をますます広げている。すべての関税撤廃を例外なく原則とするTPPに参加すれば、一部の大企業は「自由貿易」で潤うだろうが、果たしてその潤いで国民は「幸せ」になれるのか?僕は朝日の論説委員に言いたい。なぜなら、今でも大企業は244兆円の内部留保を溜め込み潤っているではないか。なのに、日本は経済成長が止まり、国民はますます貧しくなっているではないかと。

 TPPは、資本の自由をさらに拡大するだろうが、逆に農林漁業は崩壊し日本の食料はすべて外国に頼る事になるのは目に見えている。有識者の発言で、「農業はどうせ駄目だから、こ機会に抜本的に見直せばいいんだ。」などと言う人もいるようだが、いったん破壊した農地は簡単には元に戻せない。すわ飢饉だといっても間に合わない。国家百年の計などというが、国土の保全・食料の自給確保をないがしろにする国のあり方が本当に今問われている。無国籍の多国籍大企業の「自由貿易論」にのっかっていく危険を大いに感じている。

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