尖閣諸島をめぐる問題で、政府の対応やマスコミ報道を見ていると、尖閣諸島は「日本の固有の領土だ」とは言うけれど、日本の主張のどこに正当性があるのか、具体性にふれたものは見当たりません。まして、中国側の領有権の主張の具体的内容にも言及されていません。これでは、世界から見て、「双方に言い分があり主権を言い争っているに過ぎない」と見られてしまいかねません。
日本政府は、尖閣諸島の領有権について、その歴史的事実や国際法的正当性、中国側の主張の誤りについて、より明確に国内外に発信すべきだと思います。
この点で、今朝のしんぶん赤旗は、10/4日本共産党志位委員長が国会で記者会見し、尖閣諸島問題に関する「日本共産党の見解」をくわしく報道していますが、まさに、的を射たものとなっています。
特に、私が感心したのは、中国側の領有権の主張の大本になっている「尖閣諸島は、台湾に付属する島嶼として中国固有の領土であり、日清戦争を乗じて日本が不当に奪ったものだ」との主張に対し、①中国が1895年1月(日本が尖閣を日本領土にしたとき)から1970年までの75年間一度も日本の領有について異議も抗議も行なっていないという事実があること。②日本への台湾の割譲を決めた日清講和条約(1895年4月の下関条約)とその交渉過程の詳細な検証を行い、「日本による尖閣諸島の領有は、日清戦争による台湾などの割譲という侵略主義、領土拡張主義とは正確がまったく異なる正当な行為だった」ことを事実でしめしていることです。(くわしくは、しんぶん赤旗をどうぞ)
日本は「竹島問題」「千島問題」など他にも、それぞれ領有権をめぐる問題を抱えていますが、国際的に大義ある主張と交渉をすすめるべきで、特に、尖閣諸島問題では、1978年の日中平和友好条約締結の際「鄧小平副首相の一時棚上げ」論に対し、尖閣諸島の領有権が日本にある事について中国側に確認を申し出ることは、「まったく要らざることである」(1978年10/16福田首相外務委員会答弁)として、明確な主張をしなかったことや、1992年に中国が尖閣諸島を自国領と明記したときにも外務省の口頭で抗議しただけで本腰を入れた外交を怠ってきたこと。今回の事件でも、民主党政権は「国内法、司法で対処する」というだけで、肝心の外交的主張をおこなわず、ひたすら事態の沈静化をうかがう姿勢に終始していることなど、歴代の日本政府がその外交努力を怠ってきたことが、紛争の拡大と混迷の原因になっていることは明らかだと思います。
従って、この機会に尖閣諸島の領有問題について、歴史的にも国際法上も日本にその正当性があることを堂々と日本政府は主張すべきとする、日本共産党の提起は、さすが日本共産党との思いを強くするとともに、この日本共産党の「見解」を国内外に広く発信しなければならないと思います。