朝日記者も~橋下「公務員改革」に疑問?

 3月23日朝日新聞の33面に、『橋下流 公務員は特権的か・職員基本条例』の見出しで記者の署名入り特集記事が8段を使って掲載されています。
 記事のリード部分では、
 「橋下徹大阪市長が「既得権」の代表としてやり玉に挙げる公務員。市長時代のマニフェストには、「明治時代から続いてきた公務員制度を大転換」と書いていた。でも、公務員ってそんなに長い間変わっていないのだろうか。」 
 と書き出して~公務員が生まれた歴史と背景をまとめています。
公務員の身分を守るため一定の縛りをかけたのは1899年で、「文官分限令」を第2次山県有朋内閣が出し、刑法や懲戒処分のほか心身の故障・定員超過・本人の願い~でなければ免職されない。としたものだといいます。
 実はこの直前、日本初の政党内閣として登場した第一次大隈重信内閣が政党員を大量に官吏に登用し前任者は職を追われたといい、『「分限令」は対立する政党勢力の影響が官吏の人事に及ぶのを防ぐ手立てだった』と公務員の身分の歴史を振り返っています。
 また、大正時代に入って政党政治が本格化すると、政権政党が変るたびに前政権よりの官吏が休職を強いられそのまま失職に追い込まれることが頻発。そこで、行政運営が不安定になることに歯止めをかけようと、1932年(昭和7年)、官庁都合の休職は第三者機関に諮るよう文官分限令を改正「身分保障」と呼ばれるようになったとしています。
 公務員の身分保障は~先進国なら当たり前の制度
 立命館の鵜飼幸雄教授や成蹊大学の西松美香教授(行政学)は、公務員の身分保障は政治化の恣意的な処分を防ぎ、公務員を中立公正な行政サービスを提供させるためのもの、先進国ならどこにでもある当たり前の制度だといいます。
 取材記者は
制度的敵視は筋違い~ 職員がトップの評価ばかり気にして立ち回り、実績が見えづらい行政サービスは置き去りになる。身分保障はそんな事態を防ぐためにもある。西村教授によれば、「国民のため」の制度だ。とりわけ戦後のそれは、時の権力に一定の「だが」をはめるものだ。不祥事の続発する大阪市を見れば職員改革は待ったなしだろう。しかし、組織劣化が生じているとすれば、それは歴代の首長や議会、職員の体質の問題であり、制度を敵視するのは筋が違う。
 選挙結果を白紙委任とばかりに猛進する橋下氏。だが、「改革」の一つ一つは長期的に見て市民の利益と結びつくものなのか、思考停止せず見つめたい。と締めくくっています。
 朝日記者の真面目な取材に拍手です。

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