徳島市議会第5回定例会で本会議での個人質問を行いましたので質問原稿を掲載します。

新駅構想への徳島市の対応について

日本共産党市議団の見田治でございます。質問通告に従って、質問します。

新ホールの建設に伴って、知事は新駅構想を打ち出し、本市は早々と市役所前駐車場の提供など新駅設置に協力する意向を示しています。しかし、徳島駅からわずか650m、歩いて10分足らずところに新駅が本当に必要なのでしょうか。多くの市民が疑問を呈していると思います。
この新駅設置に関して、徳島県は7月から8月にかけて、「新駅設置に係るアンケート」を実施しこの度、その結果を公表しました。

アンケートの対象者は、一つは「新ホールの利用者」また一つは市役所など周辺公共施設の通勤・通学者など「周辺施設の利用者」、また一つは周辺施設の「JR利用者」など、いわゆる新駅に直接関連するであろう、主な対象者ごとに分けて実施されたものです。

アンケートは、新駅が設置された場合、新駅を利用したいと思いますかと問いかけ、「利用したい」「機会があれば利用したい」「利用しない」の3択で、いずれかを選択させるものですが、平たく言えば、新駅の利用度調査です。

調査結果は、新駅が利用されるか否かについて問うものですから、その結果は、新駅の必要性に直結するものだと思います。

そこでお聞きしますが、初問の1

本市は、このアンケート結果についてどのように評価しますか、お答えください。

また、県は、アンケートの結果を受けて、引き続き新駅利用者数の予測や列車の運行計画などを検討するほか、県の費用負担を関係機関と協議するとしています。

12月6日付徳島新聞に、地元自治体の要望でつくる「請願駅」は、設置費用を基本的に請願者の自治体の負担となること。直近の請願駅は2020年3月、予讃線の・南伊予駅で、簡素な無人駅ですが、事業費は1億7千万円、伊予氏が全額負担し、愛媛県が半額を補助したとあり、新駅と南伊予駅のプラットホームの長さは同じだと報道しています。

このように、新駅設置には、相当の事業費がかかってきます。

そこで、県が繰り出す費用負担の協議ですが、県からどのような負担が本市に求められるのでしょうか。

初問の2

本市が提供する市役所前駐車場とその撤去費用、市の代替え駐車場はどこに確保し、その整備費用、その他、新駅に関連して駅前の道路や歩道の整備なども様々想定されます。

県から、どのような負担を求められることになるのかお答えください。

新駅のまとめ

アンケートの結果は、新駅の利便性はほとんどなく、南伊予駅の事例では、新駅と同じプラットホームの長さの無人駅で1億7千万円、周辺整備を含めれば、さらに金額は膨れるはずです。

当初、知事は、新駅は新ホールのためにとされていましたが今は、新ホールのためだけでは筋が通ら無くなり、市役所や、裁判所、城東高校へ通う子どもたちもまきこんで、利用者探しをしている始末です。

新ホールのためにというお題目のために、年間7万人もの会館利用者があり、耐震工事や空調設備を行い十二分に活用できる中央公民館や社会福祉センターは解体し、多くの市民が首をかしげる新駅の設置をすすめようとする、市長の県市協調路線は市民の声に耳を貸さない、ゆがんだ県市協調路線だと言わざるを得ません。

私は、アンケートから新駅の利用度が極めて低いという指摘に加えて、新駅の設置は、徳島駅・機能の分散につながり、徳島駅前を中心とする中心市街地の活性化機能にも大きな影響を与える可能性を指摘しておきます。例えば、一例ですが、徳島駅地下の飲食店です。徳島駅に乗り降りする利用者があってのお商売だと思いますが、その人々が新駅で乗り降りすれば、徳島駅前は素通りとなります。通勤者が徳島駅で乗り降りしなくなれば、どうなるか、徳島駅からそれぞれの仕事場に、また、それぞれ利用する施設に、歩いて行き来する人の流れがあってこその駅前商店街、飲食店街です。議会では、駅前を軸とする中心市街地活性化に関する議論をしていますが、鉄道やバス、タクシーなどの交通手段と人の流れをどうつくるのかを考えている最中ですが、徳島駅のすぐそばにつくる新駅が、徳島駅がもっている機能の分散し、駅周辺の活性化にも様々な悪影響を与えかねないという点もしっかり見ておく必要があるということを指摘しておきたいと思います。

知事の思い付きのような、新駅構想に振り回されず、このさいキッパリと新駅の設置断念を県に求めることこそ、市政のあるべき姿であることを指摘して、質問を終わります。

阿波踊りについて

初問 令和3年11月24日、「阿波踊り事業運営体制等検討委員会」の報告書が本市に提出されました。

この検討委員会は、内藤市長が実行委員長を務める阿波踊り実行委員会が、今年3月31日キョードー東京など民間共同事業体との委託契約を一方的に解除し、同日、阿波踊り実行委員会をも「赤字が発生した際の責任が負えない」等として解散させたもとで、これまでの事業運営方式を再検証し、持続可能な運営体制の構築をめざすとして、市長の肝いりで設置されたものです。

市長は、この検討委員会の提言を受けて第5回市議会定例会の市長説明で、「提言内容を重く受け止め、新たな事業運営体制の構築に全力で取り組む」との決意を述べ、

さらに、今回の検証を通じて、改めて「阿波踊り事業特別会計の赤字」の原因とされた観光協会の運営方法について、前市政が累積赤字の中身を十分に検討せず、拙速に観光協会の破産申し立てという間違った解決方法を選択したこと自体が不適切であったことが明らかになった等と述べ、とりわけ観光協会の破産に対する検討委員会の検証と提言を高く評価しました。

しかし、この報告書には、多くの疑問点、問題点があります。

報告書の目的は、新たな阿波踊りの事業の主催・運営体制を構築するための「検証・検討」を行うものといい、装いをこらしていますが、その実、検証検討の主な内容は、観光協会の破産は間違った選択だったという視点で占められ、その破産手続きを行った前市政批判と共に、引き続き何らかの調査が必要であると考えられる等と観光協会の復権をはかる政治的意図が強く感じられるものとなっています。

そこで、この報告書の問題点、誤りについても、指摘しておかなければなりません。

まず、報告書は、観光協会の約4億2千万円の累積赤字について、徳島市の財政と比して0.8%に過ぎず、極めて大きな負担とはいえないと述べていますが、そうでしょうか。4億2千万円は決して小さな金額ではありません。

平成30年3月2日の産業交通委員会で、債権者(徳島市)による破産申し立てに関する、質問に対して、当時の経済部副部長は次のように答弁し、破産手続きを急ぎすすめた当時の徳島市の理由について説明がなされています。

「本市が破産手続き開始の申し立てを行った考え方について、まず、話をさせてもらう。このたびの調査報告書を受け、四国銀行は期限の利益を喪失して、協会に対して、2月16日までに支払うようもとめたところである。また、観光協会と金融機関の借入金に係る約定によると、遅延損害金の利率が年14%であり、残元金が3億8千万円とすれば、1日約14万5千円、1年で約5300万円もの遅延損害金が発生することとなる。このような多額の遅延損害金を損失補償額として、本市が負担することは市民の理解がえられないため、金融機関と協議して、この遅延損害金を損失補償額に含めないとここしている。さらに、この損失補償額をできる限り減らすために、本市が主体的、主導的に観光協会から回収することを目的として、金融機関が観光協会に対して有する債権を本市が譲渡を受けたということである。このことにより、観光協会に対する債権を有する本市が、破産手続き開始の申し立てを行ったものである。今後は、市民の負担をできる限り減らすために、やむを得ず、裁判所の関与の下で透明性を確保しながら、観光協会からの債権の回収に努めたいと考えている。考え方は以上である。」

この答弁で、あきらかなように、累積赤字約4億2千万円という金額は、放置すれば、多額の遅延損害金が発生することからも決して小さな金額ではありません。

 

また、221条による調査報告書の7ページに記されている観光協会の平成29年3月31日現在の財政状態の表に「短期借入金4億3千6百万円」とありますが、この回収を四国銀行が図ったもので、これを本市が肩代わりし、調査報告書により、今後、観光協会が約4億2千4百万円もの累積赤字を解消しつつ阿波踊り事業を継続していくことは極めて困難であるとされたもとで、徳島市が、これ以上の市民への負担を減らすために、観光協会の破産手続きを急いだ理由に何らの瑕疵も不当性もなく、むしろ市民への負担をいかに減らすかの手立ての一つとしてなされた、当然の帰結ではないでしょうか。

破産に至る前、

2017年9月、観光協会は、徳島市から、徳島市と徳島新聞社、そして観光協会の3者による累積赤字の解消策に関する協議を呼びかけられました。徳島市は、累積赤字に対する処理やこれからの阿波踊りの運営の在り方等、どのように進めていくか、互いどう責任を果たすべきかの協議を求めたのではありませんか。

破産ではなく、経営の健全化と運営体制の再構築が優先されるべきであったというなら、観光協会は自ら経営の健全化と運営体制の再構築方針を真っ先に三者協議で提案すべきではなかったでしょうか。観光協会は、なぜ、この3者協議を拒否し続けたのか、この3者協議の拒否の後、地方自治法第221条の発動、そして、調査報告書による観光協会の経営実態が公にされ、破産へと進んでいますが、3者協議の拒否によって、観光協会は、阿波踊りの主催主体としての責任を自ら放棄し、阿波踊りを立て直す意思なしと見なされ、破産に至ったことをしっかりと反省すべきだと思います。

 

また、報告書は、累積赤字の多角的な解消策の検討がなされておらず、観光協会について、「累積赤字を解消しつつ阿波踊り事業を継続していくことは極めて困難」と結論付けていることに対し、根拠に乏しく結論は性急すぎた。「調査報告書」を観光協会の破産手続きの根拠として用いたことは、適切とは言い難い。などと、地方自治法第221条に基づいた調査結果を全否定されています。しかし、累積赤字を解消しつつ阿波踊り事業を継続していくことは極めて困難の根拠は、調査報告書が指摘した、「観光協会における阿波踊り事業継続の可能性」を読めば、明らかです。その一部を紹介します。

『観光協会においては、組織・事業の財政的基盤ともいえる年間8300万円の指定管理料を生み出す指定管理事業(阿波踊り会館、眉山ロープウエイ)が、平成30年3月末日をもって終了する見通しである。そうなれば、観光協会は指定管理料収入を得られなくなるうえ、阿波踊り会館で実施してきた阿波踊り事業の実施も困難となり、同事業の売上の他、同事業に対する徳島市からの補助金も打ち切られることが予想される。また、観光協会の自主財源は会費収入(年間約400万円弱)等に限定されることになり、現在雇用している職員の維持が困難となり、組織の縮小、事業の縮小は避けられないと考える』と指摘しています。観光協会が指定管理事業収入を失った今後の「収支」を考えれば、根拠は乏しいどころか、早晩立ち行かなくなることは、素人の目にも明らかではありませんか。

報告書は検証検討の結果の結論として、(今後の運営体制について)・民間委託は収支均衡の必要条件ではない。阿波踊りの持続可能な運営をしていくためには、主催主体として新たな実行委員会の設置が不可欠であると考える。また、阿波踊りの運営事務局は、地域、文化および観光の振興を目的とする公益性の高い法人内に設置することが考えられる。と結論付けています。

初問 そこで、市長にお聞きします。

破産となった、観光協会も、「公益法人」として存在していました。報告書の結論も阿波踊りの運営事務局は、地域、文化および観光の振興を目的とする公益性の高い法人内に設置することが考えられると結論付けています。まさかとは、思いますが、破産した徳島市観光協会の復活を目論んでいることはないとおもいますが、そのように断言できますか。お答えください。

答弁いただいたので、まとめます。

この報告書は、新たな実行委員会の責任と役割の中で、新実行委員会は、市民のための阿波踊りの開催と持続可能性を高めるために、事業内容、収支均衡、リスク管理に責任を負うことが求められる。とする一方で、注釈23として「これは、事業赤字の責任を委員個人が追うことを意味しない。」などとわざわざ報告書に記載しています。では、だれが負うのか。報告書は、阿波踊り事業の赤字について、徳島市が赤字の責任を取るしくみを求めています。これは、累積赤字の債務保証どころのはなしではありません。阿波踊り事業の最終責任を徳島市が負うことに等しいものだと思います。

踊り子連の連長さんが「元の木阿弥にならなければいいが」とつぶやかれましたが、この、阿波踊り事業運営体制検討委員会報告書の検証・検討内容と阿波踊り事業の運営体制の提言は、累積赤字を生んだ以前の体制に戻りかねない危惧があることを強く指摘し、破産法人の復活は許さない。許してはならない。と申し上げて質問を終わります。

質問を終えて~本会議質問は、答弁時間も含め40分です。質問に対する理事者の答弁が長く再質問はできませんでした。従って、初問とまとめになっています。

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