3月議会の見田治の質問は次のとおりです。

~大型店の出店と徳島市中小企業振興基本条例の活用について
流通大手イオンが南末広町に大型ショッピングセンター「(仮称)イオンモール徳島」を建設することとなり、この2月14日原市長も出席されて現地で起工式が行われました。
報道による出店計画では、建物は鉄骨5階建ての商業施設と鉄骨6階建ての駐車場で構成され、商業施設は延べ約7万6千8百㎡で、スーパーや衣料、雑貨、飲食などの他シネコン(複合映画館)が入り、商業施設と駐車場の2階は隣接のボーリング場(スエヒロボール)と渡り廊下で接続し、吉田社長は、「海や港に近い景観を生かして5階にレストランを配置。地元の産品を意識した品ぞろえや徳島ならではの外装など工夫を凝らし魅力的な施設にしたい」と取材で話されたとあります。
商業施設の延べ面積7万6800㎡といえば、平成23年末に出店された「ゆめタウン」が店舗面積4万㎡、平成13年10月に出店されたフジグランが1万8千828㎡ですから、徳島県内で最大規模の商業施設が徳島市内東部に来春できることとなるわけですが、徳島市はイオンの出店が徳島市の産業や商業、市民生活にどのような影響をもたらすのか検討されておりますか。
お答えください。

2. イオンの出店が産業や商業、市民生活に及ぼす影響について、シネコンを併設した魅力的な買い物先が市内にでき、地域内の競争の激化、競合店舗においても、消費者にアピールする努力がより一層促されるという面では、「消費者利益の観点」からは歓迎すべきものとしたうえで、北島町や藍住町へ流失している消費者を市内に留めるとともに、広い商圏からの誘客が見込める施設として地域の消費拡大、雇用の創出など地域経済の活性化にもつながるものと考ええられるとの答弁でした。
私は、消費者利益の観点や雇用創出などによる地域経済の活性化という点も大切だと思いますが、平成27年4月に制定されました「徳島市中小企業基振興基本例」を生かすべきだと思います。
徳島市中小企業振興基本条例の制定にあたっては、中小企業を取り巻く環境の厳しさを述べたうえで、つぎのように述べています。
「中小企業が成長発展し、これからも徳島市の発展をけん引するとともに、事業を持続的に発展させていくことにより、自立的で個性的な地域社会の形成に重要な役割を果たしていくためには、中小企業者自らが経営革新や新たな事業の創出、経営基盤の強化などに積極的に取り組むとともに、徳島市、中小企業団体、大企業者その他中小企業にかかわるすべてのものが中小企業の重要性や社会的役割を認識し、中小企業がその持てる力を最大限に発揮しうるよう、社会全体で支援していくことが必要である。」「ここに、中小企業の振興を市政の重要課題として位置づけ、社会が一体となって中小企業の振興に取り組むため、この条例を制定する」
このような理念の上に、制定された中小企業振興基本条例ですが、その第6条には「大企業者」の「役割」が規定され、大企業者は中小企業者との連携及び協力に努めるものとすることや、大企業者が事業を行うにあたって、市区域内において生産、製造又は加工される物品を取り扱い、及び市の区域内で提供されるサービスを利用するよう努めるものとするとしており、消費者利益のみならず、この条例に基づき、大企業者は「区域内において生産、製造又は加工される物品を取り扱い、及び市の区域内で提供されるサービスを利用する」という、中小企業振興基本条例の観点でのイオン側・大企業者へのアプローチが重要であります。
徳島市において、生産・製造・加工される、どのような商品・物品がイオンモールで販売、或いは取り扱い可能なのか積極的にアプローチする必要があるのではないでしょうか。
いかがでしょうか。

また、交通アクセスにおける駐車場、交通渋滞などの市民生活に及ぼす影響などについても、今後徳島市としてどのように対処されるのか、お答えください。

再問に答弁いただきましたので、意見を述べたいと思います。

中小企業振興基本条例の活用について、大企業者と中小企業側双方にとってメリットのある、持続的な協力関係を構築していく上で重要であるとの答弁がありました。
また、行政も積極的にかかわる必要があり、地元商業者のテナント出店や地元産品の販売など、地元事業者側にも相応の努力をしていただくことより、チャンスを生かしてもらいたい、そして、今後、徳島市として雇用面や「地域貢献」の要望を含みイオン側と協議したいとの答弁でした。
答弁を聞く限り、イオン側との協議はまだ、なされていないようです。
しかし、全国展開しているイオングループが、出店地の県や市との間で、「地域貢献協定」や「包括連携協定」を結ばれていることはよく知られているところです。
イオンと自治体との「地域貢献協定」の一例ですが、人口7万6千人の鹿児島県姶良(あいら)市では、次のような協定が結ばれているようです。
① 育て支援及び青少年の健全育成に関すること。
② 高齢者及び障碍者の支援に関すること。
③ 健康食育に関すること。
④ 交通・災害対策及び地域の安全・安心に関すること。
⑤ 観光及びスポーツ・文化の振興に関すること。
⑥ 環境対策に関すること。
⑦ 商工業との連携及び雇用促進に関すること。
⑧ 地産地消の推進及び市産品の販売促進に関すること。
⑨ ICTの推進及び活用に関すること。
⑩ 市民サービスの向上及び市政情報の発信に関すること。
⑪ その他、地域社会の活性化に関すること。
など様々な分野に及んでいます。また、これらの地域貢献協定はカードの利用とセットになっていることも特徴のようであります。
いずれにしても、本市においては、中小企業振興基本条例踏まえ、地域社会を支えている中小企業の活力を支え、これ以上低下させない立場で取り組まれることを強く求めておきたいと思います。
なぜなら、市長は、本議会において「いつまでもこの町に住み続けたい」と市民が実感できる街にと、所信表明されました。
しかし、今や本市の小売業の実態、特に中心市街地の小売業の実態は、市長が語る未来とは裏腹に実に暗澹たる状況です。
徳島市産業振興ビジョンの分析では、市内小売業は、平成9年から平成19年度のこの10年で、全国平均を大きく上回って落ち込んでいます。事業所数は、全国が約20%の減少に対し、本市は33%の減少。従業員数は、全国が3.1%の減少に対し、約3倍の10.1%の減少、年間の商品販売額は、全国で8.8%の落ち込みに対し、約2倍の17.0%の落ち込みようです。
とりわけ中心市街地としている内町・新町地区の小売業は、事業数・従業員数・販売額の落ち込みは著しいものがあります。事業数で、33.7%、従業員数で36.7%、販売額で44.7%の-マイナス・減少となっています。
小売業の衰退傾向について「これは賃金水準の低下による消費低迷に加え、神戸淡路鳴門自動車道の全線開通や周辺自治体に大型店が立地したことによる消費の流出が影響しているもの」と分析していますが、
このような激しい、全国を上回る小売業の落ち込みの現状に対し、本市は、果たして有効な対策を、この間、打ち出してきたといえるでしょうか。
このたびの市内東部への県内最大級のイオンの出店は、中心市街地小売業をはじめ市内小売業へ及ぼす影響もまた大変大きなもの考えられるわけですが、徳島市未来チャレンジ総合戦略等においても、来春にも開店するにもかかわらず、市内小売業への影響や対策について、何ら目が向けられたものになっていません。
イオンの出店を「チャンスとしたい」とのことですが、チャンスとして生かすというならば、中小企業振興基本条例の第4条、「市の責務」にもとづき、この機においてこそ、市内小売り業など小規模企業者の実態を把握し、影響や対策、振興施策について、改めて総合的に策定・充実を図る必要があるのではないでしょうか。
また、小売業の落ち込みについて、ビジョンにおいても「賃金水準の低下と消費低迷」との分析がありましたが、まさにアベノミクスの経済政策、大企業がもうかれば、その利益が、労働者や中小企業、そして地方経済に、したたり落ちるという「トリクルダウン」の破たんが、徳島市の小売業の衰退に端的に表れています。
ビジョンに参考資料として掲載されている「産業実態調査結果」の製造業のアンケートでも、売上高減少の第一は「市場の縮小」であり、個人消費の落ち込みが、中小企業や地域経済に大きく影をおとしています。

しかし、このように広がる格差と貧困の中でも、安倍首相は、今開かれている国会においても「リーマン・ショックや大震災の事態が起こらない限り、消費税を引き上げていく」と述べ、介護、年金、医療など社会保障の切り捨てを推し進めており、このような政府言いなりの市政からの脱却こそ今求められているのではないでしょうか。
これから市長選挙となりますが、
若いそして清新な姿勢で市民の声に耳を傾ける、新たな市政の実現こそ、今、市民に求められていることを申し上げて、質問を終わります。

~介護保険から「軽度はずし」をさせないために
初問
介護保険制度について質問します。
政府・厚労省は、2月17日社会保障審議会おいて、介護保険の軽度の利用者すなわち介護1と介護2の「生活支援援助」について、軽度の利用者の利用度合の半分以上が生活援助、家事支援・買い物支援などで、「家政婦代わりに」利用しているとの評価を加えて、生活援助サービスを保険対象から外す、また、軽度者向けの車いすなど福祉用具の貸与や手すりの取り付けといった住宅改修を保険対象から外すといった介護保険制度の見直し論議をはじめています。
介護保険制度については、すでに一昨年の法改悪で要支援1と要支援2の、訪問介護などのサービスが平成29年までに全国一律の介護保険制度から、実施の責任は市町村となり、市町村の財政力や考え方によって、要支援の認定利用者に対する生活援助などにおいて、介護の質や量の低下を招くことを恐れがあり、介護の後退を危惧する声が上がっています。
このような中、さらに政府は、軽度の利用度合いが生活援助サービスの半分以上「家政婦代わりに使っている」といい、昨年(平成27年6月)の財政制度審議会においては、要介護①・②向けの訪問介護で、生活援助サービスの利用が多いなどと指摘し、介護保険から外して原則自己負担にすべきだと提案し2016年末までに結論を出すよう求めています。
果たして、政府のいうように、本市の軽度の介護保険・予防利用者において「家政婦代わり」といわれるような実態があるのかどうか現実に支出されている、介護保険給付費の状況についてお聞きします。
要支援1から要介護5の7段階の各介護区分において、給付費と訪問介護給付額、及び給付費に占める訪問介護に占める率についてお示しください。

再問
介護の区分ごとの給付費に占める居宅サービスの内、厚労省のいうところの、「生活援助」を含む「訪問介護」サービスの割合について平成26年度の給付費の実態をお答えいただきました。
当然のことですが、要支援1の場合の比率は約28%で、要介護3~5の重度の合計の平均は12%と、軽い介護度の利用者ほどヘルパーさんなどの訪問援助を受ける「比率」が高くなっています。この訪問介護サービスの中で、買い物や家事援助など、いわゆる生活援助が占める割合も、介護度が軽い型ほど、その割合が一層大きいことは言うまでもありません。
政府が切り捨てようという、軽度の介護支援の実態とは、一体どのようなものなのかしっかりとみておく必要があるのではないでしょうか。
ここで在宅支援センターでお聞きした3つの事例をご紹介します。
事例の1は、
85歳のご主人と、要介護の②と要支援の83歳妻の二人暮らしの事例です。
要介護②の夫は、脳疾患後遺症で、右の片麻痺があり、歩行や移動は見守り、支えが必要で、要支援の奥さんが介助して生活しています。ケアマネの話によりますと、奥さんは身体的には問題はないが、判断力低下で、金銭管理ができず、掃除や調理、買い物など家事ができなくなっている。訪問介護者が訪問したとき、「電話がつながらない」「電気がつかない」との相談がありましたが、確認すると、残高不足で止められていました。年金受給月は余裕があるが、隔月の月末は食材を買うお金もないことが多く、訪問介護者は、安い食材での調理に心がけて、金銭管理の工夫や始末に使うよう声をかけ、生活が成り立っているといいます。ちなみに、老夫婦は、夫の年金と不足分を生活保護に頼っています。
 要介護2の夫と要支援の妻の老夫婦への介護サービスは、
夫が週2回リハビリに通院し、週3回調理と買い物、妻が、週1回の掃除と買い物だということです。
 この老夫婦から、調理や買い物、掃除などの生活支援を取り上げれば、どうなるのか。たちまち、自立した生活はなりたたないでしょう。

次の事例は、要介護2の68歳の単身の男性です。
障害者年金で生活されていますが、脊椎損傷で下半身がマヒし、室内は手の力と車いすを利用して自立した生活をしています。しかし、屋外へは当然介助がなければ外出はできません。医療面では、往診診療で、食事は、民間配色サービス、宅配で買い物をし、週3回の訪問介護で、掃除、洗濯、ゴミ出しなどをされています。ケアマネの方は、今でも生活を切り詰めて生活をしていて、訪問介護の中心は生活支援ですが、自費負担で10割となれば、生活はなりたたないといいます。この事例の自己負担額は一割負担で月3,379円ですから全額自己負担となれば10倍の33,790円となります。

次に76歳の一人暮らしの要支援2の男性の場合ですが、若いころに離婚し家族の親類もなく、国民年金でせいかつされていますが、脳疾患後遺症で右不全片麻痺とのことです。うつの気質があり、腰痛と歩行不安定で長い距離は歩けず、借家の浴槽が使えないため、週2回通所介護で、入浴と機能訓練をされています。そのほか週1回45分で掃除などの訪問介護をうけていますが、買い物、調理、洗濯などは工夫して自分で行っています。この男性から、通所介護サービスを奪えは、安全に入浴もできず、人との交流もなくなり、また、自費による負担はとてもできない生活状況です。
以上3つの事例を紹介しましたが、政府の「軽度者に対する生活支援の介護保険はずし、打ち切り」が実際の利用者の自立支援をいかに損なうものか、よく理解いただけるのではないでしょうか。

いずれの事例も、軽度の方で、生活支援がなければ、在宅介護が成り立たず、かつ、生活援助が保険給付から取り上げられ、自己負担となれば生活援助は受けられない方々の事例です。
政府は、軽度の方方が利用する「生活援助を家政婦代わりに使っている」などと述べていますが、本市の介護認定はどのように行われ、いわゆる軽度の介護を必要とする利用者に対し生活支援を行うことについて、本市はどのような評価をされているのでしょうか。
お答えください。

答弁いただきましたので、意見を申し上げます。
介護の必要な「度合い」が低い高齢者に対する「生活支援」サービスの評価について、「介護の必要度が低い高齢者は、単身や高齢者のみで在宅で生活している方が多いと考えられますことから、日常生活に支障が生じないよう、生活全般において一定の支援が必要である」と答弁をいただきましたが、
私が示しました3つの「事例」も単身或いは高齢者のご夫婦で、たよる身寄りもく、生活費は年金や保護の助けを借りて、在宅で自立されている方々でした。このような方々から、生活支援を奪えは、立ちどころに自立は立ち行かなくなってしまいます。
政府が軽度者の生活援助サービスを介護保険の対象外にするとして見直し論議されている社会保障審議会の部会においても、「軽度者はずしは重症化を招く」といった声が噴出し、全国老人福祉施設協議会は「家族の負担増につながる」と反対表明をされてます。
政府・財務省の財政制度等審議会などは、生活援助で掃除や調理の利用者が軽度者に多いことを繰り返しやり玉にあげているようですが、介護の現場を見ない乱暴な意見です。
ここに、「みんなの安心介護保険」という徳島市介護・長生きかが発効している利用の手引きがありますが、要支援1と2の介護予防サービスの中で、日常生活の手助けをしてもらう「介護予防訪問介護」について、このように記述されています。
ホームヘルパーに訪問してもらい、調理や掃除などをいっしょに行い、利用者ができることが増えるよう支援していきます。そして週一回は1168円と週2回2335円の利用の場合の自己負担額を示しています。この金額が全額自己負担となれば、このサービスの利用者は激減するのは目に見えています。
徳島市は、現場の実態をしっかりとみていただくとともに、国の軽度の介護制限に対しては導入しないよう厳しく求めること。また、平成29年度から本市が実施主体となる要支援1と2の介護予防事業についても、少なくともこれまで実施してきたサービスを後退させることのない取り組みを求めて、質問を終わります。

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