伊方原発の再稼働の動きとその危険性を指摘し、徳島市長が再稼働に反対する姿勢を明確にするように求めた6月代表質問(見田治)の部分を掲載します。
次に伊方原発の再稼働について、質問をいたします。
5月27日づけ朝日新聞の記事によりますと、四国電力の千葉昭社長は、5月20日に原子力規制委員会が、「安全対策が新規制基準に適合する」として審査書案を示したことをうけて、5月26日の記者会見で、伊方原発3号機の再稼働について、「年内再稼働に向け、必要な手続きを進めていく」と述べ、「だいたい7月には合格証をいただけるのでは」と審査書決定の見通しを示し、「国の許認可とともに地元の合意が不可欠、伊方町、愛媛県に同意をいただくお願いに伺う。半径20キロ県内の全戸訪問も実施していく」と話した。と報道されています。
四国電力は、新規制基準に適合との審査書案をうけて、急ピッチで伊方原発3号機の再稼働をすすめる意向を表明したものですが、日本共産党市議団はあらためて伊方原発のもつ危険性を指摘し、徳島市として伊方原発再稼働に反対する姿勢を明確にするよう求めるものです。
伊方原発の再稼働による危険性ですが、
まず第一に、原子力規制委員会の「新規制基準」について、新規制基準の適合が、「原発の安全を保証するものではない」ということを認識しておかなければなりません。
政府は、新規性基準に適合すれば、安全が確認されたなどとして順次再稼働を認可する方針を打ち出し、原子力規制委員会の審査に「安全性」を丸投げしていますが、規制委員会の田中委員長自身、「新基準の適合は、原発の安全を保障するものではない」と言明し、日本原子力文化財団の「Q&A」には、Q.新規制基準は原発で行う安全対策を定めているの? との問いに、「A. 新規制基準は、必要な「性能」を規定して、要求するもの」と答えているように、新規制基準は、新たな災害の「想定」のもとに基準を定め、その基準に適合するかどうかを審査するものに過ぎず、新規性基準の適合は安全を保障するものではありません。事故は、起こり得るものだということをまず認識しておかなければなりません。
その際、伊方原発3号機は、ウランとプルトニュームを混ぜたMOX燃料を使う「プルサーマル」ですが、MOX燃料は、制御しにくいのが特徴と言われ、またウランに比べプルトニュームは毒性が極めて強いなど、一度過酷事故が発生すれば、福島を上回る危険性をはらんでいることも見ておかなければなりません。
また、伊方原発再稼働の適合基準の元となった「基準・地震動」について、四国電力は当初570ガルとし、審査でさらに650ガルに引き上げられました。
しかし高知大学の地震地質学の岡村眞特任教授過はこれを「過小評価」と指摘しています。伊方原発沖合6キロには関東から続く1000キロにわたる中央構造線活断層が有り、南海トラフ巨大地震の活動が中央構造線の活動を誘引する可能性もあり、1000ガルから2000ガル以上が必要で、震源が原発に近く、原子炉をとめる制御棒操作が極めて困難を伴うというものです。
また、大阪府立大学の長澤啓行名誉教授は、四国電力が最新の国内地震データを無視し、地震規模が小さくなる海外データを用いて過小評価していると批判し、中央構造線活断層による超長大な断層の活動により巨大地震が起きてからでは取り返しがつかない。起こり得る最大規模の地震を想定すべきである。それに耐えられない原発は閉鎖、伊方原発はその最たるものであると指摘しています。
このように新基準の大前提である「基準地震動の設定」についても、これだけの評価の違いがあり、まさに、新基準適合は安全のお墨付きにはなりえないものです。
また、万一事故が発生した場合は、住民避難がかかせません。
四国電力の千葉社長は、記者会見で愛媛県と伊方町の2自治体名をあげ、20キロ圏の住民への全戸訪問を行うなどと述べているようですが、福島第一原発事故で、30キロ圏外にあった飯舘村は、高い放射能汚染地帯となったことは周知の事実です。
伊方原発の30キロ圏には7市町約13万5千人が住み、また、佐多岬の付け根にある伊方原発の先に住む住民5千人の避難方法は船以外にありませんが、悪天候など、そう簡単には避難できない状況も想定しなければなりませんが、新規制基準の求める「要求事項」には、住民の避難計画は含まれていません。
第3に、四国4県議会正副議長会や四国知事会において、伊方原発について安全対策の充実や説明責任の履行などを要望されていますが、伊方原発による万一の過酷事故の発生は、徳島県・徳島市にとって重大な影響を及ぼすことは明らかです。
伊方原発は瀬戸内海に面しており、福島原発事故のような海洋汚染がおきれば、放射能は拡散されることなく、瀬戸内海は死の海となる危険性をはらんでいます。福島県においては、とりわけ汚染水の海洋への流失がとまらず、沿岸部の漁業は深刻な打撃を今尚受け続けていますが、伊方原発の事故発生においては、本県・本市の漁業に重大な影響をもたらします。
放射能が大量に大気に放出された場合、風力や風向きなどによって広範囲に放射能汚染地域が広がることはあきらかで、また、地形や雨などによって高濃度の汚染地域をうむホットスポットも問題で、強い北西の風が吹く季節風など考えれば、観光産業、農林業など徳島県、本市への直接の影響を被ることは必然ではないでしょうか。
第4は、四国電力の原発再稼働をめざす目的が、電力不足のためでもなく、原発の再稼働によって電力の供給量を増やして、売電し、さらに経営利益を上げることが目的となっていることです。
新聞報道によれば四国電力は、この夏の節電について「節電対策は必要なし」発表されています。また、2014年度連結決算が4年ぶりに黒字となったため、従業員の給与カット率を現行の5%から2.5%にし、管理職や出向社員を含む全従業員5900人のカット率を半減するとしていますが、「伊方原発の再稼働に向けて社員のモチベーションを高めるのが狙い」としているなどと報道されています。
万一事故が発生すれば、取り返しがつかない危険性をはらむ再稼働について、四国電力が、増収・利益拡大を目的に再稼働を目指すなどとする姿勢は、企業の社会的責任・企業倫理を全く踏まえない論外の姿勢だといわなければなりません。
以上、伊方原発再稼働の危険性、問題点を指摘しました。私は、4年前にも原発ゼロ、再生可能エネルギーへの切り替えなどを質問いたしましたが、
市長は、私の質問に対し、4年前、「国は今回の事故を受けまして、原発の安全基準を見直すとのことでございまして、私といたしましても、二度と原子力事故が起きない内容、あらゆる事態を想定した基準づくりが必要」とのべ、伊方原発にたいする本市の対応について、「原発安全基準の見直し状況を見極めながら、必要な措置を講じてまいります」と答弁されています。
この認識は変わっていませんか、お答えください。
そして、市長のいわれる「二度と原発事故が起きない内容」とは到底言えない新基準適合にもとづく伊方原発再稼働について反対の意志を表明するべきだと思いますがいかがでしょうか。
お答えください。
市長答弁は、4年前の答弁の認識は「変わらない」と答弁されましたが、伊方原発再稼働について反対の意思表明はありませんでした。